検査で合格することと、安定してつくれることは違う
部品加工では、完成した製品が図面の寸法や公差を満たしているかを確認します。
測定結果が規格内であれば、その部品は定められた検査基準に合格したと判断できます。
しかし、一度合格した部品を製作できたことと、同じ品質の部品を安定してつくり続けられることは、必ずしも同じではありません。
特に小ロット加工や継続的な生産では、この違いが重要になります。
例えば、加工寸法が公差の範囲内であっても、毎回上限と下限の近くを大きく変動している場合があります。
検査した部品がすべて合格していても、加工条件の変動が大きければ、将来的に公差から外れる可能性があります。
加工機械の状態、工具の摩耗、材料のばらつき、固定方法、温度変化など、寸法の安定性に影響する要因はさまざまです。
プラスチック加工では、特に材料特性への理解が必要です。
樹脂は種類によって熱膨張や吸水、内部応力の影響を受けるため、加工直後と時間が経過した後で寸法が変化することもあります。
また、薄肉形状や長尺部品では、加工中の固定方法や切削条件によって変形が生じる場合があります。
完成した部品を測定することは重要ですが、それだけでは加工工程が安定しているかどうかを十分に把握できないことがあります。
そこで必要になるのが、加工工程そのものを見る視点です。
どの工程で寸法が変わりやすいのか。どの工具が摩耗の影響を受けやすいのか。材料の固定方法に無理がないか。測定するタイミングや測定方法は適切か。
こうした点を確認しながら、安定した加工条件を考えていきます。
株式会社アリスでは、ものづくりにおいて、完成品の良否だけでなく、要求される品質をどのように実現するかという工程の考え方も大切にしています。
研究開発のための一品加工では、要求性能を満たす部品を一つ完成させることが重要になる場合があります。
一方、継続して製作する部品では、同じ品質を繰り返し実現できることが求められます。
そのためには、加工方法の検討に加え、工程の組み立て、加工条件の管理、測定方法の確認などが必要になります。
品質とは、完成した部品を検査することだけでなく、要求された状態を安定してつくり出すことでもあります。
一つの部品を正確につくる技術と、その品質を繰り返し実現する技術。
株式会社アリスは、その両方を大切にしながら、研究開発から生産現場までのものづくりに向き合っています。