正解がないから、考えられる。
同じ部品をつくる場合でも、製作方法が一つとは限りません。
削ってつくるのか。
曲げるのか。
接着するのか。
溶接するのか。
複数の部品に分けるのか。
一体で加工するのか。
材料についても同じです。
樹脂なら、POM、MCナイロン、PEEK、PVC、PPなど、それぞれに特徴があります。
金属にもさまざまな種類があり、硬さや耐食性、重量、加工性、コストが違います。
図面に材料が指定されていれば、その通りにつくることが基本です。
しかし相談の段階では、材料も工法も決まっていないことがあります。
そんなとき、正解が一つに決まっていないからこそ、考える仕事になります。
たとえば、高い精度だけを追えば加工費が大きくなることがあります。
反対に、コストだけを優先すると、使用環境に合わなくなることもあります。
納期を優先すれば、選べる材料や設備が変わる場合もあります。
品質、コスト、納期。
さらに、次工程や組み立て、実際に使われる環境まで考えると、判断する条件は一つではありません。
だから、「加工できるかどうか」だけでは決められません。
何を一番大切にする仕事なのか。
どこまで精度が必要なのか。
どこなら少し条件を緩めても問題がないのか。
そうしたことを確認しながら、製作方法を決めていきます。
仕事をしていると、以前と似た案件に出会うことがあります。
そのとき、過去の経験が判断材料になります。
ただし、前と似ているからといって、同じ方法が必ず正しいとは限りません。
数量が違う。
納期が違う。
使用環境が違う。
条件が少し変われば、答えも変わります。
だから経験は、「答えを覚えるため」ではなく、「考える材料を増やすため」にあるのだと思います。
正解が決まっていない仕事では、確認し、考え、選び、また確認します。
(株)アリスでは、その積み重ねをものづくりの大切な部分として考えています。