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レオナルド・ダ・ヴィンチさま|描くことは、考えること

2013.05.02

レオナルド・ダ・ヴィンチは、とにかく描いています。

人物。

人体。

鳥。

植物。

水。

機械。

建物。

そして、まだ存在していない装置まで。

画家なのだから、描くのは当たり前。

最初はそう思いました。

でも手稿を見ていると、どうもそれだけではなさそうです。

きれいな絵を残すためではなく、

考えるために描いていた。

そんなふうに見えてきます。

頭の中だけでは分からない

何かを考えていると、

「だいたい分かった」

と思うことがあります。

ところが紙に描いてみると、

「あれ?」

となる。

ここはどうつながる?

この部品はどこに付く?

これは動いたらぶつからない?

頭の中では成立していたものが、描いた瞬間におかしくなる。

これは、ものづくりでもよくあります。

頭の中では作れそうだったものが、図面にすると成立しない。

3Dにすると干渉する。

寸法を入れると無理がある。

形にすると、ごまかせなくなる。

人体を描く

ダ・ヴィンチは人体を解剖し、内部を細かく描きました。

筋肉はどこからどこにつながるのか。

骨はどう組み合わされているのか。

関節はどう動くのか。

一方向からだけでは分からなければ、別の方向から描く。

断面にする。

内部を見せる。

部品を分けるように描く。

まるで現代の設計図を見るような図もあります。

描くために観察する。

観察すると疑問が出る。

疑問が出るから、さらに調べる。

そしてまた描く。

絵が、思考の途中に入っています。

存在しないものまで描ける

さらに面白いのはここです。

目の前にあるものを描くだけではありません。

飛行機械。

歯車を組み合わせた装置。

さまざまな機構。

まだ存在していないものまで描いています。

これは観察とは少し違います。

頭の中にあるものを、紙の上へ出している。

そして紙の上に出したものを、もう一度自分で見る。

「これで動くのか?」

「もっとこうした方がいいのでは?」

また考える。

つまり、

描く → 見る → 考える → 描き直す。

紙の上で思考を繰り返していたのではないでしょうか。

図面も同じかもしれない

ものづくりでは図面を使います。

寸法を伝えるため。

形を伝えるため。

加工する人へ情報を伝えるため。

もちろん、それが大きな役割です。

でも図面にはもう一つ役割があります。

考えるための道具。

まだ形になっていないものを描いてみる。

寸法を入れてみる。

断面を見る。

3Dにして回してみる。

すると、頭の中だけでは見えなかった問題が見えてきます。

図面は、完成した考えを記録するだけのものではありません。

考えている途中でも使えます。

上手に描く必要はない

ここで大切なのは、きれいな絵を描くことではないと思います。

線一本でもいい。

丸でもいい。

矢印でもいい。

「ここが動く」

「ここに力がかかる」

「ここを変えたい」

頭の中にあるものを、一度外へ出す。

すると自分でも見ることができます。

人にも見せることができます。

そして、

「それなら、こうしたら?」

別の人の考えも入ってきます。

一人の頭の中にあったものが、共有できるものに変わります。

考えは、外に出すと進み始める

ダ・ヴィンチの手稿には、完成した答えばかりが描かれているわけではありません。

途中の考えがあります。

試している線があります。

別の案があります。

迷っている跡があります。

それを見ていると、

ダ・ヴィンチは頭の中だけで考えていたのではなく、紙と一緒に考えていたように感じます。

見る。

考える。

描く。

また見る。

そして考え直す。

500年以上前の紙とペンが、今ではCADや3Dになりました。

道具は変わりました。

でも、

頭の中にあるものを形にして、そこからもう一度考える。

この方法は今も変わっていません。

株式会社アリスでも、図面がない相談では、スケッチや現物から形を起こして考えることがあります。

最初から答えがあるとは限りません。

だから、まず形にしてみる。

ものづくりでは、描くことも考えることの一つです。

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