メーカー廃番のギアを、現物から再製作する
生産設備では、長く使っているうちに交換部品が手に入らなくなることがあります。
設備そのものはまだ使える。
しかし、一つのギアが摩耗している。
予備品はない。
メーカーに問い合わせても、すでに製造終了している。
こうしたケースでは、小さな部品一つのために設備全体の更新を検討しなければならないこともあります。
そこで考えられる方法の一つが、現物から部品を再製作することです。
図面が残っていない場合は、まず現物を確認します。
外径。
厚み。
穴径。
歯数。
歯形。
取り付け部分。
周辺部品との関係。
一つずつ測定しながら、どのような部品なのかを整理していきます。
ただし、使用済みのギアには摩耗があります。
現在測定した寸法が、新品時の寸法とは限りません。
特に歯先や噛み合い部分は、長期間の使用によって形状が変わっていることがあります。
そのため、単純に現物をコピーするだけではなく、ギアとして成立する形状を考える必要があります。
必要に応じてCADで形状を起こし、加工方法を検討します。
樹脂で切削するのか。
別の材質を選ぶのか。
既存の仕様をそのまま再現するのか。
使用環境や負荷も含めて判断します。
最初から完全な答えが分かるとは限りません。
試作して、実際の設備で確認することもあります。
そこで問題があれば、形状や材料を見直します。
一度で終わらなくても、確認を重ねながら使用できる状態へ近づけていきます。
製造現場では、一つの小さな部品が止まるだけで、設備全体が動かなくなることがあります。
部品が廃番だからといって、必ず設備全体を交換しなければならないとは限りません。
現物が残っていれば、そこから何ができるかを考えられる場合があります。
今振り返ると、こうした仕事の積み重ねが、図面のある加工だけではなく、「困っているところから一緒に考える」という現在の(株)アリスの仕事につながっています。