CAD/CAMから学んだ、加工前に考える仕事の大切さ。
(株)アリスでは、切削加工を行う際にCAD/CAMを活用しています。
CAD/CAMというと、図面を作成したり、加工プログラムをつくったりするためのソフトウェアというイメージがあるかもしれません。
もちろん、それも大切な役割です。
しかし、実際に長く携わっていると、それだけではないことが分かります。
私は、CAD/CAMは「加工する前に考えるための道具」でもあると思っています。
工具は、どこから入るのか。
どの順番で削るのか。
加工途中で工具やホルダーが干渉しないか。
材料をどのように固定するのか。
途中で測定できる状態になっているか。
加工後に仕上げや追加工が必要になるのか。
図面上で形状が成立していても、そのまま工作機械で加工できるとは限りません。
だから、CAD/CAMの仕事では、単に形状をデータに置き換えるだけではなく、
「どうすれば実際につくれるのか。」
を考える必要があります。
これは、加工を始める前に失敗の可能性を減らす仕事でもあります。
機械を動かしてから、
「この工具では届かない。」
「ここが固定できない。」
「この順番では最後の加工ができない。」
と気づけば、やり直しが必要になることがあります。
先に考えておけば、防げることがあります。
その意味では、CAD/CAMを使っている時間は、機械が止まっている時間ではありません。
後の加工を安定させるための大切な準備時間です。
ただし、CAD/CAMがすべての答えを出してくれるわけではありません。
ソフトウェアは、加工経路をつくることを支援してくれます。
工作機械も、指示された内容を高い精度で実行してくれます。
その一方で、
品質を優先するのか。
加工時間を短くするのか。
段取りのしやすさを優先するのか。
一個の試作なのか、その先の生産まで考えるのか。
何を優先するかは、仕事の目的によって変わります。
同じ図面でも、答えが一つとは限りません。
だからこそ、CAD/CAMを扱う人には、ソフトウェアの操作だけではなく、実際の加工を理解することが大切になります。
工具がどのように材料を削るのか。
固定方法によって何が変わるのか。
加工したあと、どのように仕上げるのか。
現場で何が起きるのかを知るほど、加工前に考えられることも増えていきます。
これは最初から身についているものではありません。
加工結果を見る。
うまくいかなかった理由を確認する。
製造側の意見を聞く。
次の加工データへ反映する。
そうした経験を積み重ねることで、画面の中の形状だけではなく、その先にある実際の加工まで想像できるようになります。
(株)アリスでは、CAD/CAMを単なるデータ作成の工程とは考えていません。
図面と加工現場をつなぎ、機械を動かす前に問題を予測し、より良い作り方を考える工程の一つです。
良い加工データとは、きれいなプログラムをつくることだけではありません。
実際の現場で無理なく加工でき、必要な品質につながること。
CAD/CAMから学んだのは、ものづくりでは「加工する力」と同じくらい、「加工する前に考える力」が大切だということです。