磨きは、見本を真似るところから始まる。
(株)アリスの手加工には、磨きと呼ばれる仕事があります。
機械加工で形状をつくっても、それだけでは求める仕上がりにならない製品があります。
切削した表面には刃物の跡が残ります。
透明な材料であれば、その跡によって白っぽく見えることもあります。
鏡面仕上げや塗装を行う製品では、その前に表面をきれいに整える必要があります。
そこで行うのが磨きです。
磨きと聞くと、経験のある人が感覚だけで仕上げる難しい仕事を想像するかもしれません。
でも(株)アリスでは、最初から感覚だけに頼って覚えてもらうことはありません。
未経験の場合は、まず見本を見るところから始めます。
切削加工した練習用のサンプルを使い、
どの道具を使うのか。
どの順番で進めるのか。
どの程度まで磨くのか。
実際の作業を見てもらいます。
そのあと、自分でも同じようにやってみます。
最初に大切なのは、速く磨くことではありません。
まずは手順を揃えることです。
ペーパーを使う。
次の番手へ進む。
必要に応じてバフやコンパウンドを使う。
一つひとつの作業自体は、それほど複雑ではありません。
ただ、その単純な工程を順番に積み重ねることで、最終的な表面が出来上がります。
実際に磨いてみると、
「力を掛け過ぎた。」
「この傷がなかなか消えない。」
「磨いた部分にムラが出た。」
といったことも起こります。
そのときは、どこで状態が変わったのかを一緒に確認します。
そして、もう一度試してみます。
同じ作業を繰り返していると、少しずつ手や指から分かることが増えてきます。
このくらいの力でいい。
ここまで磨けば次へ進める。
いつもより表面の感触が違う。
知識として教わったことが、実際の感覚とつながり始めます。
ある程度基本が身につけば、教え方も変えていきます。
最初は方法を教えるティーチング。
そこから、自分で工程を考え、試して、分からないところを相談するコーチングへ少しずつ移していきます。
「次は何をすればいいですか。」
とすぐに答えを求めるのではなく、
「自分なら、次はこうしてみよう。」
と一度考えてみる。
うまくいかなければ、その理由を整理して質問する。
そうすることで、教わった手順を覚えるだけだった作業が、自分で判断する仕事へ変わっていきます。
磨きは、最初から器用な人だけができる仕事ではありません。
見本を見る。
真似をする。
結果を見る。
もう一度やってみる。
その繰り返しの中で、少しずつ感覚と判断力を身につけていく。
(株)アリスでは、そうした積み重ねを大切にしながら、未経験からでも磨きの仕事を覚えられるようにしています。