判断基準を共有するということ
「君はどう思う?」
私はこの問いかけ自体が悪いとは思っていません。
ただ、長年人と関わってきて感じるのは、考えるためには土台が必要だということです。
何を優先するのか。
どのような判断を良しとするのか。
困ったときはどう動くのか。
その基準が共有されていなければ、「自分で考えて」と言われても、人によって答えは大きく変わります。
(株)アリスでも、再現性を重視すること、研究開発から生産現場までを見据えること、部分最適ではなく全体最適で考えることなど、仕事を進める上で大切にしている判断基準があります。
経営者の役割は、すべてを指示することではなく、まずその判断基準を明確にすることではないかと思います。
一方で、私は「判断基準を共有すれば人が変わる」とまでは考えていません。
同じ話を聞いても、自ら動く人もいれば、動かない人もいます。
同じ環境で働いていても、仕事を自分事として捉える人もいれば、与えられた役割として捉える人もいます。
会社は環境を整えることはできます。
考えるための材料を共有することもできます。
しかし、最終的にどう行動するかを決めるのは本人です。
だから私は、人を変えようとするよりも、判断しやすい環境をつくることを大切にしています。
研究開発の現場でも生産現場でも、すべての状況に正解が用意されているわけではありません。
そのときに必要なのは、細かな指示ではなく、「この会社は何を大切にしているのか」という軸です。
その軸が共有されていれば、人は自分で考え、判断しやすくなります。
経営者の役割は、答えを与え続けることではなく、考えるための土台を示すこと。
そして、その土台の上でどう動くかは、一人ひとりが主人公として決めることなのだと考えています。