グレードを上げても、問題が解決しない理由
不具合が出たとき、
「グレードを上げる」という判断はよく行われます。
耐熱を上げる。
帯電防止にする。
摺動グレードに変える。
方向としては間違っていないように見えますが、
それでも問題が解決しないケースは少なくありません。
(株)アリスでは、この原因を「条件を見ていないこと」にあると考えています。
例えば、耐熱グレードに変更したのに歪みが出る場合。
耐熱温度の数値は満たしていても、実際には局所的な発熱や拘束条件によって応力が集中し、変形が起きていることがあります。
この場合、問題は材料の耐熱性能ではなく、「どの状態で使われているか」にあります。
帯電防止グレードでも同様です。
静電気対策として選定していても、電荷の逃げ道が確保されていなければ、結果として蓄積は起こります。
この場合も、材料の問題というより、使用環境との組み合わせの問題です。
つまり、グレードを上げることで解決できるのは、
「性能が不足している場合」に限られます。
実際の現場では、
・想定と異なる使われ方をしている
・応力や熱のかかり方が偏っている
・周辺部品との関係で条件が変わっている
といった要因が絡みます。
こうした条件を整理しないままグレードだけを変更すると、
別の不具合に置き換わるだけで、本質は残ったままになります。
(株)アリスでは、
不具合が出たときに、まず材料を変えるのではなく、
「どの条件で問題が起きているのか」を分解していきます。
どこで発生しているのか。
何がトリガーになっているのか。
どの範囲まで許容されるのか。
これらを整理した上で、はじめてグレードの見直しを行います。
結果として、基本グレードで成立することもあれば、
想定よりも高いグレードが必要になる場合もあります。
(株)アリスでは、
グレード変更を“解決策”としてではなく、
“条件に対する調整手段の一つ”として扱っています。
現時点では、
性能を上げる前に条件を揃えて試作することが、最も再現性の高い解決につながると考えています。