経験とは、過去の仕事を覚えていることではない。【2】
知らないことに出会ったとき、経験の価値が問われる。
長く仕事を続けていても、すべての技術を知ることはできません。
初めて加工する材料。
これまで使用したことのない設備。
経験のない形状や、特殊な製作条件。
ものづくりの世界には、まだ知らないことが数多くあります。
そんなとき、過去の経験だけで判断すると、実現できる可能性を見落としてしまうことがあります。
今までの方法では難しくても、新しい工具や加工方法を使えば対応できるかもしれません。
自分たちの設備では加工できなくても、別の専門技術を持つ会社なら対応できる可能性があります。
だからこそ、(株)アリスでは、分からないことに出会ったときに、まず考え、調べ、必要な人に相談することを大切にしています。
経験が豊富であることは、知らないことがないという意味ではありません。
むしろ、経験を積むほど、ものづくりの奥深さや、自分たちがまだ知らないことの多さに気づくこともあります。
自分とは異なる考え方や、新しい知識に触れたとき、それを一度受け止めてみる。
必要であれば、実際に試してみる。
その結果を確認し、自分たちの仕事に役立てられるかを考える。
そうした姿勢が、技術者としての可能性を広げていくのだと思います。
経験を、自分だけのものにしない。
仕事を通じて得た知識やノウハウは、個人の財産であると同時に、会社にとっても大切な技術的資産です。
しかし、ある人だけが知っている加工方法や判断基準は、その人がいなければ活用できない場合があります。
例えば、特定の材料を加工するときに注意していること。
過去に発生した問題と、その対策。
段取りを工夫したことで、品質が安定した経験。
こうしたことを、必要に応じてほかの人にも伝えることができれば、仕事の幅は広がります。
ただし、経験したことを言葉で説明するのは、簡単ではありません。
自分にとって当たり前になっていることほど、何を伝えればよいのか分からない場合があります。
だから、なぜその方法を選んだのかを考えることが大切です。
作業手順だけでなく、その理由や注意点まで説明できれば、別の人が応用するための手がかりになります。
また、経験の浅い人からの質問によって、今まで当たり前だと思っていた方法を見直す機会が生まれることもあります。
教える側だけが知識を持っているとは限りません。
互いに考え、意見を交わすことで、新しい気づきが生まれる場合もあります。
(株)アリスでは、知識を持っていること自体よりも、それを実際の仕事に活かし、必要な場面で共有できることに価値があると考えています。
経験とは、次の仕事を変えていく力。
同じ仕事を10回経験しても、11回目に何も変わらないことがあります。
一方で、一つの仕事から得た気づきが、その後の多くの仕事に役立つこともあります。
大切なのは、経験の数を増やすことだけではありません。
目の前の仕事から何を学び、次の仕事で何を変えるのか。
うまくいった理由を考え、うまくいかなかった原因を調べ、新しい方法に挑戦する。
そうした積み重ねによって、経験は少しずつ技術や判断力へと変わっていきます。
そして、技術が進化すれば、今までの経験を活かす方法も変わります。
新しい設備やソフトウェアを学ぶことで、以前は難しかった加工に対応できるようになるかもしれません。
違う分野の技術を知ることで、これまで思いつかなかった製作方法が見つかることもあります。
経験は、過去に積み重ねた実績を振り返るためだけのものではありません。
これから出会う仕事に向き合うための力です。
昨日までの経験を、明日の仕事にどう活かすか。
(株)アリスは、経験年数や知識の量だけに満足することなく、考え、試し、学び続ける技術者でありたいと思っています。
そして、その積み重ねを、お客様のものづくりに役立てていきます。