ChatGPTソラ先生と学ぶ!初心者のためのAI入門講座【第32回】ChatGPTで仕事の問題を解決する方法|原因分析・なぜなぜ分析・改善策・効果検証の実践
こんにちは、ソラ先生です。
前回は、ChatGPTを使って仕事の段取りや優先順位を考え、スケジュールを整理する方法を学びました。
今回は、仕事の中で起こる「問題の解決」に挑戦しましょう。
仕事をしていると、予定どおりに進まないことがあります。
「同じミスが何度も発生する」
「作業時間が予定より長くなる」
「対策をしたのに、問題が解決しない」
「原因が分からないまま、同じトラブルを繰り返している」
こんなとき、ChatGPTは問題を整理したり、原因を調べるための質問を考えたり、改善案を比較したりする手助けができます。
ただし、AIに「原因を教えて」と質問すれば、必ず正しい原因が分かるわけではありません。
今回の授業では、ChatGPTを単なる回答装置として使うのではなく、自分で考え、調べ、試しながら問題を解決するための相談相手として活用する方法を学びます。
1.問題解決は、最初に何をすればいいの?
問題が発生すると、すぐに対策を考えたくなるものです。
例えば、「出荷ミスが発生した」という問題があったとします。
そのとき、
「作業者にもっと注意してもらおう」
「確認回数を増やそう」
と考えるかもしれません。
しかし、出荷ミスの原因が分からないままでは、その対策が適切かどうか判断できません。
まずは、何が起きたのかを整理することが必要です。
問題解決では、次の5段階で考えると分かりやすくなります。
- 発生した問題を正確に把握する
- 考えられる原因を整理する
- 実際の情報で原因を確認する
- 原因に合った対策を実行する
- 対策が有効だったか検証する
今回の授業では、この順番でChatGPTを活用していきます。
2.「現象」と「原因」は違います
例えば、工場で製品の出荷が遅れたとします。
「出荷が遅れた」というのは、発生した現象です。
なぜ遅れたのでしょうか。
部品の入荷が遅れたのかもしれません。
製造工程に問題があったのかもしれません。
検査に時間がかかったのかもしれません。
しかし、この段階ではどれも可能性でしかありません。
ここで、
「出荷が遅れた原因は、作業者の能力不足です」
と決めつけるのは適切ではありません。
ChatGPTにも同じことがいえます。
AIが「原因はこれです」と答えても、実際の仕事の状況を調べなければ正しいかどうか判断できません。
そこで、次のように質問してみましょう。
「製品の出荷が予定より遅れました。まだ原因は分かっていません。考えられる原因を整理する前に、状況を把握するための質問を一つずつしてください」
このように依頼すると、ChatGPTと一緒に情報を整理しながら進めることができます。
3.実践例|同じ出荷ミスが繰り返される
今回は、架空の製造会社で起きた問題を例に考えます。
ある会社では、出荷する製品の数量を間違える問題が発生しました。
注文数量は100個だったのに、実際には90個しか出荷されていませんでした。
担当者が不足に気づき、追加の10個を出荷しました。
ところが、翌月にも似たような数量違いが発生しました。
この会社では、なぜ同じ問題が繰り返されるのでしょうか。
ここで大切なのは、まだ原因を決めないことです。
まず、ChatGPTに次のように入力します。
「注文数量100個に対し、90個を出荷するミスが発生しました。後から10個を追加出荷しましたが、翌月にも数量違いが発生しました。原因はまだ分かりません。調査すべき項目を整理してください」
例えば、次のような確認項目が考えられます。
| 確認項目 | 調べる内容 |
|---|---|
| 受注情報 | 注文数量は正しく登録されていたか |
| 出荷指示 | 出荷指示書に何個と記載されていたか |
| 梱包作業 | 実際に何個を箱詰めしたか |
| 数量確認 | 誰が、いつ、どのように確認したか |
| 情報共有 | 数量変更や連絡の行き違いはなかったか |
| 発生状況 | 同じ商品・工程・条件で起きたか |
ここでは、AIの提案を参考に、実際の記録や作業状況を調べます。
原因を想像することと、原因を確認することは別です。
4.ChatGPTに「なぜなぜ分析」を手伝ってもらう
原因を調べる方法の一つに、「なぜなぜ分析」があります。
これは、発生した問題に対して「なぜ、その問題が起きたのか」と問いながら、原因を掘り下げる方法です。
例えば、先ほどの出荷数量違いについて、調査の結果、次の事実が分かったとします。
- 注文数量は100個だった
- 出荷指示書にも100個と記載されていた
- 梱包時には90個しか入れていなかった
- 梱包後に数量を照合する記録がなかった
ここまで分かれば、問題が起きた場所を絞り込みやすくなります。
ChatGPTには、
「次の事実を基に、なぜなぜ分析を行いたいです。確認できた事実と仮説を分け、根拠が不足している部分では質問してください」
と依頼します。
例えば、次のように考えます。
なぜ①:100個の注文に対し90個を出荷したのか?
梱包時に90個しか入れていなかったため。
これは、梱包記録などで確認できれば事実になります。
なぜ②:90個しか入れなかったのか?
数量を数え間違えた可能性があります。
しかし、この段階では仮説です。梱包方法や作業記録などを確認する必要があります。
なぜ③:数え間違いを発見できなかったのか?
梱包後に注文数量と照合する仕組みがなかった可能性があります。
ただし、単に確認記録が残っていないだけなのか、実際に確認作業がなかったのかは調べなければ分かりません。
このように、確認できた事実と仮説を区別しながら進めます。
なお、「なぜ」を必ず5回繰り返せば正しい原因に到達するというわけではありません。
原因が一つとは限らず、複数の要因が重なっている場合もあります。
5.原因分析でよくある間違い
原因分析では、次のような間違いに注意しましょう。
① 最初から犯人探しをする
「誰が間違えたのか」だけを追いかけると、確認方法や作業環境などの問題を見落とすことがあります。
もちろん、作業者の操作に問題があった場合は、その事実を確認する必要があります。
しかし、個人を責めることだけで問題が再発しなくなるとは限りません。
② 推測を事実として扱う
「忙しかったから間違えたのだろう」という説明は、確認できていなければ推測です。
そのまま原因として確定してはいけません。
③ 原因を一つに決めつける
問題によっては、複数の原因が関係しています。
例えば、作業指示の分かりにくさと、確認手順の不足が重なっているかもしれません。
④ AIの説明だけで原因を確定する
ChatGPTは、実際の工場や事務所の状況を直接確認しているわけではありません。
提供された情報だけでは判断できないこともあります。
その場合は、必要な記録や現場の状況を調べることが重要です。
6.原因が分かったら、どんな対策を考える?
次は、改善策を考えてみましょう。
ここでは、追加調査によって、次の原因が確認されたと仮定します。
「出荷指示書の数量は正しかったが、梱包時の数量確認が不十分であり、出荷前に指示数量との照合を行う仕組みがなかった」
この場合、対策として次のような案が考えられます。
| 改善案 | 期待できる効果 | 確認すべき点 |
|---|---|---|
| 梱包時の数量確認表 | 確認漏れの低減 | 記入だけの形式にならないか |
| 出荷指示書との照合 | 指示数量との差異を発見 | 誰がどの段階で確認するか |
| 数量を数える補助器具 | 数え間違いの低減 | 製品に適した方法か |
| 出荷前の確認工程 | 出荷前に差異を発見 | 作業時間への影響 |
| 梱包方法の標準化 | 作業方法のばらつきを減らす | 商品ごとの条件に対応できるか |
ChatGPTには、
「確認できた原因に対して、複数の改善方法を提案してください。効果、導入の手間、費用、作業負担、残るリスクを比較してください」
と質問できます。
ただし、AIが考えた対策が実際の現場に適しているとは限りません。
設備、作業量、製品の種類、作業環境などを確認して判断しましょう。
7.応急処置と再発防止策を区別しよう
ここは、問題解決で特に大切な考え方です。
例えば、数量不足に気づき、追加の10個を出荷したとします。
これによって、今回の不足は補えます。
しかし、同じ問題が再び起こる可能性は残っています。
これが、応急処置と再発防止策の違いです。
応急処置
すでに発生した問題の影響を抑えるための対応です。
今回の例では、不足した10個を確認して追加出荷することが該当します。
再発防止策
同じ問題が起こる原因を取り除いたり、発生しにくくしたりする対策です。
例えば、梱包時と出荷前に数量を照合する仕組みを設けることなどが考えられます。
ただし、確認工程を増やすだけでは、必ず問題が解決するとは限りません。
そもそも数量違いが発生する仕組みを改善した方がよい場合もあります。
そのため、問題の原因に合った対策を考える必要があります。
8.改善策を実行する前に確認すること
改善策を考えたら、すぐに実行すればよいのでしょうか。
私は、まず実行条件を確認することが大切だと考えています。
例えば、数量確認の方法を変更する場合です。
確認すべきことには、次のようなものがあります。
- 誰が実施するのか
- どの工程で実施するのか
- 必要な設備や道具はあるか
- 作業時間はどの程度増えるか
- ほかの工程に影響しないか
- 新しい方法を誰が確認するか
- 問題があった場合に元へ戻せるか
ChatGPTには、
「この改善策を小規模に試すための実施計画を考えてください。担当者、確認項目、実施期間、効果の判断方法を整理してください。未決定の条件は勝手に設定しないでください」
と依頼します。
これによって、実行する前に必要な確認事項を整理できます。
9.対策の効果はどうやって検証するの?
改善策を実施しても、それだけで問題が解決したとはいえません。
本当に効果があったのかを確認する必要があります。
例えば、出荷数量違いを防ぐための新しい確認方法を導入したとします。
効果を確認するには、次のような情報が役立ちます。
① 数量違いの発生件数
改善前と改善後で、どの程度変化したか。
② 出荷件数
比較する期間の出荷件数が大きく異なる場合は、発生件数だけでは正しく比較できません。
③ 確認作業の所要時間
改善によって、作業時間が大幅に増えていないか。
④ 確認漏れの発生状況
新しく決めた手順が実際に守られているか。
例えば、改善前に出荷1,000件あたり5件の数量違いが発生していたとします。
改善後は1,000件あたり1件になりました。
この場合、数量違いの発生率は0.5%から0.1%へ低下しています。
改善の効果が表れている可能性があります。
ただし、この数字だけで、改善策によって問題が解決したと断定することはできません。
製品の種類や作業条件、調査期間などが変わっている可能性もあります。
そのため、同じような条件で継続して確認することが必要です。
10.対策しても問題が再発したら?
改善策を実施した後、再び同じような問題が発生することもあります。
そんなとき、すぐに「対策が失敗した」と決めつけるのではなく、何が起きたのかを確認しましょう。
例えば、次のような可能性があります。
- 決めた対策が実行されていなかった
- 対策の内容が原因に合っていなかった
- 別の原因が残っていた
- 新しい作業条件で問題が起きた
- 対策そのものが別の問題を生んだ
ChatGPTには、
「再発した問題について、以前の原因分析と対策を見直したいです。対策の実施状況、残っている原因、新たな要因を区別して調査するための質問を考えてください」
と依頼します。
重要なのは、同じ対策を繰り返すだけで終わらせないことです。
何が改善され、何が改善されていないのかを確認しましょう。
11.ChatGPTが間違った原因を提案したら?
ここからは、AIを使った問題解決で特に重要な内容です。
ChatGPTは、限られた情報からもっともらしい原因を提案することがあります。
例えば、
「作業時間が長くなったのは、担当者の経験不足が原因です」
と説明したとします。
しかし、実際には材料の入荷待ちが発生していたかもしれません。
そのような場合は、
「その原因を裏付ける事実は何ですか?確認できた情報と推測を分けて説明してください」
と質問してみましょう。
さらに、
「ほかに考えられる原因はありますか?それぞれを確認するために必要な情報を教えてください」
と追加します。
ただし、AIが自分の回答を修正したからといって、それが正しい原因だとは限りません。
最終的には、作業記録や現場の状況、関係者への確認などによって判断する必要があります。
12.問題解決に使えるChatGPTへの質問例
ここまで学んだ内容を、実際の相談に使いやすい形で整理してみましょう。
問題を整理したいとき
「現在発生している問題を整理したいです。まず、何が起きたのかを正確に把握するために、一つずつ質問してください」
原因を調べたいとき
「考えられる原因を複数挙げ、確認済みの事実と仮説を分けてください。それぞれの仮説を検証する方法も考えてください」
対策を考えたいとき
「確認できた原因に対する改善案を複数提案してください。費用、作業負担、期待できる効果、注意点を比較してください」
実行計画を作りたいとき
「改善案を小規模に試すために、必要な準備、担当者、実施手順、確認項目を整理してください」
効果を確認したいとき
「改善前と改善後のデータを比較し、効果が確認できる部分と、まだ判断できない部分を分けて説明してください」
問題解決では、一度の質問ですべてを終わらせる必要はありません。
状況を確認しながら、段階的に進めていきましょう。
13.今日のミニレッスン
今回は、出荷数量違いの問題をChatGPTと一緒に分析します。
ステップ① 問題を整理する
新しいチャットを開いて、次のように入力してください。
「架空の製造会社で、注文数量100個に対し90個しか出荷されない問題が発生しました。原因は不明です。調査に必要な質問を一つずつしてください」
ChatGPTから質問が返ってきたら、状況を仮定して答えてみましょう。
ステップ② 確認できた事実を追加する
次の情報を伝えます。
「注文書と出荷指示書には100個と記載されていました。実際の梱包数量は90個でした。梱包後の照合記録は確認できていません」
ここで、照合記録がないことと、照合作業をしていないことは同じではない点に注意してください。
ステップ③ 原因を分析する
「ここまでに確認できた事実と、考えられる原因の仮説を分けてください。仮説を確かめるために必要な調査も教えてください」
と質問します。
ステップ④ 対策を比較する
次に、次の条件を加えます。
「追加調査の結果、梱包後に出荷指示数量と照合する工程がなかったことが分かりました。この問題に対する改善案を3つ考え、メリットと注意点を比較してください」
ステップ⑤ 効果の確認方法を考える
「改善策を実施した後、数量違いが減ったかどうかを確認する方法を教えてください。必要な記録と比較方法も説明してください」
と依頼します。
ステップ⑥ AIの回答を検証する
最後に、
「今回の分析で、まだ確認できていない情報と、結論を出す前に調べるべきことを整理してください」
と質問します。
ここまでできれば、問題の把握から対策の検証まで、一連の流れを体験できます。
今回は架空の問題ですが、実際の仕事でも同じ考え方を応用できます。
ただし、安全や品質に重大な影響があるトラブルでは、AIとの相談よりも、現場の安全確保、正式な報告手順、専門担当者による対応を優先してください。
ソラ先生からひとこと
仕事で問題が起きたとき、すぐに正しい答えが見つかるとは限りません。
調べても原因が分からないことがあります。
考えた対策がうまくいかないこともあります。
それでも、確認できた事実を一つずつ積み重ねることで、問題の理解を深めることができます。
ChatGPTは、原因を調べるための質問を考えたり、異なる視点を提示したり、改善案を整理したりする手助けができます。
しかし、AIが提案した原因や対策が正しいとは限りません。
実際の情報を確認し、必要なら試してみる。
結果を評価し、うまくいかなければ別の方法を考える。
その繰り返しが問題解決につながります。
私は、失敗すること自体よりも、失敗から何も学ばず、同じ問題を繰り返すことの方が大きな問題だと考えています。
AIを使う目的は、考えることをやめるためではありません。これまで以上に深く考え、調べ、試し、解決できるようになることです。
次回【第33回】は「ChatGPTでアイデアを生み出す方法|発想を広げる・比較する・実現可能性を検討する実践講座」です。
今度は、まだ答えのない課題に対して、AIと一緒に新しい可能性を考える方法を学びましょう。