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遺跡と川を見ると人の移動が見える

2013.07.11

遺跡と川を見ると人の移動が見える

古代の人の移動を考える時、私は川を外すことはできないと思っています。

今の感覚では、川は道路を分断するものです。

橋がなければ向こう岸へ行けません。

でも船を使う社会では、川そのものが道になります。

八尾市は、文字のない時代の人の移動について、発掘された土器から考えることが
できると説明しています。

縄文時代の八尾では東北地方の影響を受けた土器が見つかり、弥生時代や古墳時代には
八尾の土器が遠くへ運ばれる一方で、岡山や九州の土器も八尾から出土しています。

さらに久宝寺では、外海へ出られる船の一部も見つかっています。

これは面白い材料です。

土器は自分では移動しません。

誰かが持ってきた。

あるいは誰かが運んでいった。

そこには人の移動があります。

しかも八尾は、古代の河内の水域や川と関係する場所です。

川を使えば、徒歩では大変な荷物も運べます。

土器。

木材。

食料。

鉄。

人。

すべて動かせます。

文化庁も、古い道だけでなく水路も、人・物・情報の交流を考える上で重要な
交通路として扱っています。

ここから考えると、

遺跡を一つずつ点で見るより、

川に沿って線でつなぐ方が、人の動きが見えてくる場合があります。

川の近くに集落がある。

少し下流に別の遺跡がある。

そこから海へ出られる。

あるいは支流をさかのぼれば別の盆地へ入れる。

その途中に違う地域の土器が見つかる。

そうした材料を重ねれば、

「この地域同士は交流していたのではないか」

という仮説が出てきます。

そして人が移動すれば、物だけではなく技術も移動します。

焼き物の作り方。

農耕。

金属加工。

祭り。

言葉。

家族そのものが移動することもあります。

古代の川は、地域を分ける境界であると同時に、地域同士をつなぐ道でも
あったのではないでしょうか。

遺跡だけを見ると点です。

川だけを見ると自然です。

でも二つを重ねると、人がどこから来て、どこへ向かったのか、
その動きが少しずつ見えてくるのではないでしょうか。

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