試作品は、完成品ではなく次の答えを探すためにつくる
試作品をつくる目的は、最初から完成品をつくることではありません。
まず形にしてみて、考えていたことが本当にうまくいくのかを確かめる。
そのためにつくるものが、試作品です。
研究開発の現場では、頭の中で考えているだけでは分からないことがたくさんあります。
大きさはこれでいいのか。
手で持ったときに使いやすいか。
部品同士がきちんと収まるか。
強度は足りるか。
実験装置の中で干渉しないか。
実際に使ったときに、想定していなかった問題が出ないか。
図面上では問題がなくても、実物にすると気づくことがあります。
だから一度つくってみる。
そして、使ってみる。
そこで出てきた問題を次の試作品に反映していきます。
たとえば、樹脂加工でつくった試作部品でも、ほんの少し穴の位置を変えるだけで使いやすくなることがあります。
厚みを変える。
角を丸くする。
材質を変える。
固定方法を変える。
一つの変更で、使い勝手が大きく変わることもあります。
こうした仕事では、「一回で完成しなかったから失敗」という考え方はあまり合いません。
一回目で分かったことがある。
二回目でさらに分かった。
三回目でようやく目的に近づいた。
それなら、その三回すべてに意味があります。
(株)アリスでは、試作をするとき、加工することだけを見るのではなく、その先で何を確認したいのかを考えるようにしています。
試作品をつくること自体が目的ではないからです。
お客様が確認したいこと。
研究者が試したいこと。
開発担当者が次の判断をするために必要なこと。
そこへつながって初めて、試作品の役割があります。
もちろん、試作だから適当につくればいいということでもありません。
次の判断に使うものだからこそ、必要なところはきちんとつくる。
一方で、確認する必要のないところまで過剰につくり込めば、時間も費用も増えてしまいます。
どこまでつくるか。
何を確認するか。
そのバランスを考えることも、試作加工の大切な部分です。
試作品は完成品ではありません。
けれど、その一つがなければ次へ進めないことがあります。
つくって、確かめて、考える。
そして、もう一度つくる。
その繰り返しの先に、新しい製品や新しい技術が生まれていきます。