試作では、必要な精度を見極める
ものづくりでは、精度が高ければ高いほど良いと思われることがあります。
もちろん、高い精度が必要な部品はあります。
ほんのわずかな寸法差が、組み付けや動き、測定結果に影響する仕事もあります。
しかし、すべての部分を必要以上に高精度でつくればいいわけではありません。
研究開発や試作では、どこに精度が必要なのかを見極めることが大切です。
たとえば、位置を決める穴には厳しい寸法が必要でも、外形にはそこまで高い精度が必要ない場合があります。
部品同士がはまる部分は重要でも、持ち手の形状は多少変わっても問題ないことがあります。
何を確認するための試作品なのかによって、必要な精度は変わります。
すべてを高精度にすると、加工時間も増えます。
使用する工具や工程も増えることがあります。
結果として、試作の費用や納期が大きくなる場合があります。
もちろん、必要な精度を落としてはいけません。
しかし、必要のないところまで過剰につくり込むことも、試作では必ずしも良いとは限りません。
大切なのは、目的に合った精度です。
そのためには、図面を見るだけではなく、その部品がどのように使われるのかを確認する必要があります。
どの部分が基準になるのか。
どこが相手部品と組み合うのか。
どこに荷重がかかるのか。
どの部分が測定結果に影響するのか。
こうした条件を確認しながら、必要な加工方法を考えます。
樹脂加工では、材料そのものの性質も精度に影響します。
温度による変化。
加工時の熱。
材料内部の応力。
薄肉形状による反り。
金属と同じ感覚で数字だけを追いかけても、うまくいかないことがあります。
だからこそ、材料の特徴を理解した上で、目的に必要な精度を出していきます。
(株)アリスでは、数字を厳しくすることだけが高品質だとは考えていません。
必要なところを、必要な精度でつくる。
そして、その部品が目的どおりに使える状態にする。
試作加工では、その判断も技術の一つです。
精度とは、ただ細かい数字を追うことではありません。
その仕事に本当に必要な精度を見極めること。
それも、ものづくりの大切な仕事です。