製造業の経営者が、AIという新しい技術について考える
ものづくりの世界では、新しい技術が登場するたびに、仕事の進め方が少しずつ変わってきました。
工作機械の数値制御、CAD/CAM、三次元測定機、3Dプリンターなど、以前は難しかったことが、新しい技術によって実現できるようになっています。
そして今、気になっている技術の一つがAIです。
ChatGPTをはじめとする生成AIは、文章の作成、情報の整理、質問への回答など、さまざまな用途で利用されるようになってきました。
では、製造業ではどのような使い方ができるのでしょうか。
私は、新しい技術が登場したとき、最初から自分の仕事には関係がないと決めつけないようにしています。
自分が知らないだけで、役立つ方法があるかもしれないからです。
例えば、製造業では一つの部品を製作するために、多くの情報を確認する必要があります。
材料の種類、加工方法、寸法精度、製作数量、コスト、納期。
新しい材料や加工方法を検討する場合には、技術資料を調べたり、専門知識を持つ人に相談したりすることもあります。
AIによって、こうした情報収集や整理の方法が変わる可能性があります。
ただし、便利な説明が得られたからといって、すぐに実際の製作へ採用できるわけではありません。
材料の特性や加工条件は、実際の使用環境によって変わります。
情報が正しいかを確認し、その仕事に適しているかを判断する必要があります。
この点は、これまでのものづくりと変わりません。
例えば、新しい加工工具が登場した場合です。
メーカーの資料に優れた性能が書かれていても、実際の材料や設備に適しているかは別の問題です。
必要であれば試してみて、加工状態や品質を確認します。
そこで得られた経験が、次の仕事で役立つ知識になります。
AIについても、同じような考え方が必要だと思います。
新しい技術だからといって、何でもできると考えない。
一方で、知らないからという理由だけで遠ざけない。
まずは、どのような技術なのかを理解することが大切です。
(株)アリスは、樹脂・金属・ゴムなど、自社加工と国内協力会社の技術を組み合わせながら、研究開発から生産現場までのものづくりに関わっています。
自社ですべての技術を持つことを目的にはしていません。
必要な技術があれば、それを持つ会社を探し、協力しながら解決する方法を考えます。
AIも、これからの仕事で活用できる技術の一つになるかもしれません。
大切なのは、技術そのものに振り回されるのではなく、何を実現したいのかを考えることです。
新しい技術を知り、その可能性と課題を理解する。
そうした姿勢を、これからも大切にしていきたいと思っています。