数値で考え、感覚で気づく。
ものづくりの世界は、論理の積み重ねで成り立っています。
材料の特性を理解する。
加工条件を決める。
CAD/CAMで加工データをつくる。
CNC工作機械が、設定された数値に基づいて加工する。
寸法を測定し、結果を確認する。
精密なものづくりには、数字や理論に基づいた考え方が欠かせません。
だからこそ、同じ条件で同じ結果へ近づける再現性が生まれます。
(株)アリスでも、できるだけ感覚だけに頼らず、条件や結果を確認しながら仕事を進めています。
ただ、開発試作や一点物の加工では、数字だけを見ていても分からないことがあります。
いつもと少し違う切削音。
工具から伝わる感触。
材料の削れ方。
加工した表面のわずかな変化。
図面にも加工データにも書かれていない、
「何かいつもと違う。」
という感覚です。
最初から、こうした違いが分かるわけではありません。
同じような加工を何度も経験する。
正常な状態を知る。
うまくいかなかった加工も経験する。
その結果を見て、原因を考える。
そうした経験が積み重なることで、少しずつ違いに気づけるようになります。
例えば、切削音に違和感を覚えたときも、
「なんとなく変だ。」
で終わるのではありません。
工具が摩耗しているのか。
固定状態に問題があるのか。
加工条件が材料に合っていないのか。
切りくずの排出が悪いのか。
経験と知識を使って、考えられる原因を一つずつ確認していきます。
つまり、現場でいう「感覚」は、論理と反対にあるものではないと考えています。
経験によって蓄積された情報が、
「ここを確認したほうがいい。」
と教えてくれることがあります。
磨きやバリ取りなどの手加工でも同じです。
表面を見たり、指で触れたりしたときに、
「もう少し磨いたほうがいい。」
「これ以上触ると形状を崩すかもしれない。」
と判断することがあります。
そこにも、これまで扱ってきた材料や形状、成功した方法、失敗した方法の経験があります。
(株)アリスでは、論理と感覚のどちらか一方だけを大切にしているわけではありません。
まず、数字や理論で考える。
実際にやってみる。
結果を見る。
そこから得た経験を、次の判断に使う。
そして、感覚として気づいたことも、できるだけ理由を考え、次に再現できる形へ整理する。
この繰り返しを大切にしています。
未経験の仕事でも、最初は数字や手順から覚えます。
経験が増えるにつれて、
「いつもと違う。」
と気づけることが増えていきます。
さらに、その違和感の理由まで考えられるようになる。
それも、仕事を覚えていく中で身につく力の一つです。
論理は、ものづくりを安定させるための土台です。
そして経験から生まれる感覚は、まだ数字になっていない変化に気づくための力になります。
数値で考え、感覚で気づき、もう一度その理由を考える。
(株)アリスでは、その両方を積み重ねながら、毎回条件の異なる開発ものづくりに向き合っています。