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富士山は、美しい山である前に「怖い山」だった

2014.08.14

今の富士山を見ると、美しい山という印象が先に立ちます。

日本を象徴する山。

観光地。

信仰の山。

でも昔の人にとって富士山は、それだけではありませんでした。

噴火する山です。

山が火を噴き、灰が降る。

溶岩が流れる。

畑が使えなくなる。

人が逃げる。

生活そのものを壊す力を持った山でした。

だから浅間信仰を考える時、「富士山が美しいから神聖視された」という話だけでは足りません。

怖かったから祀った。

鎮まってほしいから祈った。

その側面があります。

実際、浅間神社の由緒には、富士山の噴火を鎮めるための祭祀が繰り返し登場します。

特に864年の貞観大噴火のあとには、噴火を鎮める祭祀が整えられ、翌865年には河口浅間神社が
創祀されたと伝えられています。

ここに、人間と神の原点がある気がします。

自然が優しい時、人は感謝する。

自然が牙をむいた時、人は恐れる。

その両方を同じ神として祀る。

富士山は水を与えます。

豊かな土地を作ります。

でも噴火もする。

恵みと恐怖が同じ場所にある。

人間はその矛盾を、神という存在の中にまとめたのかもしれません。

神様とは、単なる「願いをかなえてくれる存在」ではなく、人間ではどうにもできない
自然そのものだった。

そう考えると、古い神社の祭祀がもっと現実的に見えてきます。

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