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土地に入るということは、人と結ばれるということ

2013.05.19

饒速日さまの物語を見ていると、土地に根を張るというのは、単にそこへ移り住むことではないのだと思います。

長髄彦の妹を妻に迎え、その間に可美真手命が生まれたと伝わっています。

ここには、とても人間らしいものがあります。

遠くから来た人たちと、もともとその土地で暮らしていた人たち。

最初は違う集団だったはずです。

言葉や習慣も、考え方も違ったかもしれません。

けれど一緒に暮らし、仕事をし、やがて婚姻によって家族になる。

そうなると、「こちら側」と「あちら側」という境目は少しずつ薄くなっていきます。

長髄彦にとって饒速日さまは、単なる外から来た人物ではなく、妹の夫です。

そして可美真手命は甥になる。

饒速日さまにとっても、長髄彦はこの土地でできた家族です。

この関係を考えると、当時の出来事が急に政治や戦争だけの話ではなくなります。

そこには家族がいて、親戚がいて、子どもがいる。

誰かを守るということは、土地だけを守ることではありません。

そこで暮らしている人を守ることでもあります。

私は、饒速日さまたちがこの土地に根付いていった理由の一つは、こうした人とのつながりだったのではないかと思っています。

土地は、住んだから自分のものになるのではない。

人と関わり、家族ができ、思い出が増え、守りたいものができた時に、初めて故郷になっていく。

可美真手命の誕生は、その象徴のようにも見えます。

外から来た人と、この土地にいた人。

その二つが次の世代で一つになる。

歴史は、大きな出来事だけで動くものではありません。

家族ができる。

子どもが生まれる。

その小さな出来事の積み重ねが、やがて土地の歴史になっていくのだと思います。

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