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名も残らない人たちが、道を残した

2014.02.06

古い道を歩くと、ときどき不思議な場所に出ます。

山の中なのに、道だけがある。

石が並んでいる。

小さな祠がある。

誰が作ったのか分からない。

いつからあるのかも分からない。

でも、その道は確かにどこかへ続いている。

私は、こういう場所が好きです。

歴史には、名前が残る人と残らない人がいる。

王様。

武将。

僧侶。

豪族。

でも本当に道を作ったのは、名前のない人たちだったかもしれない。

木を切った人。

石を運んだ人。

土をならした人。

崩れたところを直した人。

旅人のために祠を置いた人。

誰かが困らないように、少しだけ手を入れた人。

その人たちの名前は、もう分からない。

でも、

仕事だけが残っている。

ここが、私はとてもロマンティックだと思います。

誰にも褒められなかったかもしれない。

記録にも残らなかったかもしれない。

それでも、その人が手を入れた道を、何百年後の誰かが歩く。

その誰かがまた少し直す。

そしてまた次の人が使う。

そうやって道だけが残る。

名前は消えても、

人の気遣いは、地面の上に残る。

私は、昔の日本にはこういう歴史がたくさんあると思っています。

神社へ続く山道。

村と村を結ぶ細い道。

峠の小さな地蔵。

川辺の石段。

どれも、誰かが必要だから作った。

そして誰かが守った。

だから今も残っている。

歴史というと、どうしても有名な人物を探してしまいます。

でも本当は、

名前のない人たちの仕事の方が、ずっと長く残っていることもある。

古い道を歩くと、

その人たちの足音が、まだ少しだけ残っているように感じます。

私は、そんな歴史が好きです。

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