ChatGPTソラ先生と学ぶ!初心者のためのAI入門講座【第54回】ChatGPTへの指示を改善する方法|曖昧な質問を減らし、目的に合った回答を得るプロンプト設計
こんにちは、ソラ先生です。
前回は、ChatGPTが間違えたときの対応方法を学びました。
AIの間違いを発見したら、原因を調べ、実際の画面や資料を確認し、必要な部分を修正することが大切でした。
今回は、問題が起きる前の段階に目を向けてみましょう。
テーマは「プロンプトの改善」です。
プロンプトとは、ChatGPTなどの生成AIへ伝える質問や指示のことです。
例えば、こんな経験はありませんか?
「詳しく説明してほしかったのに、短い答えしか返ってこない」
「簡単に教えてほしいのに、専門用語ばかり使われる」
「頼んでいない内容まで勝手に作られた」
「前に説明した条件が反映されていない」
「何度質問しても、期待した答えにならない」
こうした問題には、AI側の間違いや限界が関係する場合もありますが、質問の目的や条件が十分に伝わっていない場合もあります。
今回は、ChatGPTへ何をどのように伝えればよいのか、具体的な例を使って学びましょう。
1.プロンプトは長ければよいの?
最初に覚えてほしいことがあります。
プロンプトは、長ければよいというものではありません。
例えば、次の質問を考えてみましょう。
「消費税を除いた金額を計算する方法を教えてください」
この質問なら、複雑な指示は必要ないかもしれません。
一方、
「会社の採用ページを作成してください」
という依頼では、情報が不足しています。
どんな会社なのか。
誰に読んでもらいたいのか。
何を伝えたいのか。
募集している職種は何か。
どのような文章を希望しているのか。
これらが分からなければ、ChatGPTは一般的な内容を基に文章を作ろうとする場合があります。
その結果、実際の会社とは異なる内容になる可能性があります。
大切なのは、文字数ではなく、回答に必要な情報がそろっているかどうかです。
2.プロンプトを構成する5つの要素
仕事でChatGPTを利用するときは、次の5つを意識すると、質問を整理しやすくなります。
| 要素 | 伝える内容 |
|---|---|
| ① 目的 | 何を実現したいのか |
| ② 背景 | どのような状況なのか |
| ③ 条件 | 守ってほしいルールや制約 |
| ④ 資料 | 判断の根拠となる情報 |
| ⑤ 完成形 | どのような回答や成果物が必要か |
例えば、会社紹介の文章を作成する場合です。
目的
初めてホームページを訪れた人へ会社の仕事を紹介したい。
背景
研究開発向けの試作や部品加工に関わる会社である。
条件
実際に確認できていない仕事や実績を追加しない。
資料
会社概要、事業紹介、代表者がまとめた原稿など。
完成形
ホームページへ掲載する、約1,000文字の会社紹介文。
このように整理すると、ChatGPTが何を基に作業すればよいか伝わりやすくなります。
ただし、5つすべてを毎回書く必要はありません。
簡単な質問では、必要な要素だけを伝えれば十分です。
3.曖昧な質問を具体的にしてみよう
例えば、次の質問です。
「ホームページを改善してください」
これだけでは、何を改善したいのか分かりません。
デザインなのか。
文章なのか。
スマートフォンの表示なのか。
問い合わせ方法なのか。
検索結果への表示状況なのか。
改善する対象によって、必要な情報が異なります。
そこで、次のように質問を変えてみましょう。
「会社のホームページで、スマートフォンから問い合わせページへ進みにくい問題を改善したいです。現在の画面を確認し、導線の問題点を整理してください。実際の画面を確認するまでは修正箇所を断定しないでください」
これなら、目的と確認方法が伝わります。
ChatGPTがすぐに修正案を出すのではなく、まず必要な情報を確認する進め方にもできます。
4.「誰に向けた回答か」を伝える
同じ内容でも、読む人によって適切な説明は変わります。
例えば、「射出成形とは何か」を説明する場合です。
初めてプラスチック加工を学ぶ人と、製造業で長く仕事をしている技術者では、必要な説明が異なります。
初心者向けなら、
「材料を加熱して溶かし、金型へ流し込んで成形する方法」
という基本から説明することが考えられます。
技術者向けなら、材料の流動性、成形条件、金型構造など、さらに専門的な内容が必要になるかもしれません。
ChatGPTには、
「プラスチック加工の知識がない人へ、射出成形の基本を説明してください。専門用語を使う場合は、その意味も説明してください」
と質問できます。
また、
「製造業の技術者向けに、射出成形と切削加工を比較してください。寸法精度、金型費用、数量、材料などの観点から整理してください」
という質問もできます。
同じテーマでも、対象読者を明確にすることで回答の方向性が変わります。
5.「何をしてはいけないか」も伝える
ChatGPTへの指示では、してほしいことだけでなく、避けてほしいことを伝える方法もあります。
例えば、文章を修正する場合です。
「この文章を読みやすくしてください」
という依頼では、ChatGPTが文章の順序を変更したり、一部の内容を削除したりするかもしれません。
しかし、元の内容を維持したい場合には、それでは困ります。
そこで、
「誤字脱字と不自然な表現だけを修正してください。文章の意味、段落構成、数字、固有名詞は変更しないでください」
と伝えます。
また、技術資料を整理する場合なら、
「資料に書かれていない仕様や性能を推測で追加しないでください」
という条件も役立ちます。
ただし、条件を指示したからといって、AIが必ず完全に守るとは限りません。
修正後の結果は元の資料と比較しましょう。
6.資料がないのに文章を作らせるとどうなる?
例えば、ChatGPTへ次のように依頼したとします。
「当社の製作実績を紹介する記事を書いてください」
しかし、具体的な製作実績は伝えていません。
この場合、ChatGPTが一般的な加工事例を想像し、実際に行った仕事であるかのように文章を作ってしまう可能性があります。
これは、会社のホームページでは避けなければなりません。
実際に行っていない仕事を掲載すると、読者へ誤った情報を伝えてしまいます。
そこで、
「当社の製作実績を紹介する文章を作りたいです。実際の事例はこれから説明します。事実を追加せず、まず必要な情報を質問してください」
と依頼します。
そして、材質、用途、加工方法、製作上の課題など、公開できる範囲で情報を伝えます。
AIが知らない事実を、自然な文章で補ってしまわないようにすることが重要です。
7.資料を渡すときの質問方法
ChatGPTでは、PDFやWord、Excelなどのファイルを利用できる場合があります。
例えば、製品の仕様書をアップロードしたとします。
その際、
「この資料をまとめてください」
だけでは、どの情報を重点的に整理してほしいのか分からない場合があります。
そこで、
「添付した仕様書を基に、製品の材質、寸法、使用条件、注意事項を整理してください。資料に記載されていない項目は『記載なし』としてください」
と依頼します。
さらに、
「重要な仕様について、どのページに記載されているのか示してください」
と質問する方法もあります。
ただし、AIが資料の一部を読み取れない場合があります。
図面や画像、複雑な表などでは、内容を正しく認識できないこともあるため、元の資料との照合が必要です。
8.回答形式を指定してみよう
ChatGPTに何を答えてほしいかだけでなく、どのような形式で答えてほしいかを伝える方法もあります。
例えば、3つの加工方法を比較したい場合です。
「切削加工、射出成形、3Dプリンターによる造形の特徴を比較してください。加工原理、初期費用、数量への適性、注意点を表にまとめてください」
と依頼します。
文章で長く説明されるより、表の方が比較しやすい場合があります。
一方、お客様への説明文を作成するなら、
「専門用語を抑えた、自然な文章で説明してください。箇条書きではなく、読みやすい段落でまとめてください」
と指定できます。
回答形式の例には、次のようなものがあります。
- 表
- 箇条書き
- 短い説明文
- 詳細な解説
- チェックリスト
- 手順書
- 比較資料
- 企画書
目的に合った形式を選びましょう。
9.文字数の指定は必要?
ホームページの記事や報告書を作成するときは、文章量を指定すると役立つ場合があります。
例えば、
「会社案内の記事を作成してください」
という依頼を、
「会社案内としてホームページに掲載する、約1,000文字の文章を作成してください。仕事内容と仕事への考え方を中心にまとめてください」
と変更します。
ただし、文字数を指定するだけでは、内容が充実するとは限りません。
重要なのは、必要な説明が含まれていることです。
例えば、
「1,000文字を必ず超えること」
だけを重視すると、同じ内容を繰り返して文章を増やしてしまう場合があります。
そこで、
「同じ説明を繰り返して文字数を増やさず、読者が理解するために必要な具体例や背景を補ってください」
と依頼する方法があります。
また、ChatGPTが示す文字数は正確でない場合があります。
厳密な文字数が必要なら、文字数を数えられるツールで確認しましょう。
10.質問を一度にたくさん詰め込まない
ChatGPTに複数の作業を一度に依頼すると、一部の条件が見落とされる場合があります。
例えば、
「ホームページを分析して、SEOを改善して、画像を作って、会社案内を書いて、採用ページも作ってください」
という依頼です。
作業が多く、それぞれ必要な情報も異なります。
そこで、仕事を分ける方法があります。
まず、
「ホームページ全体の構成を整理してください」
と依頼します。
次に、
「会社案内ページに必要な情報を整理してください」
と進めます。
その後、
「確認した情報を基に、会社案内の文章を作成してください」
と依頼します。
このように、作業を分けることで途中の確認がしやすくなります。
ただし、すべての仕事を細かく分割すればよいわけではありません。
簡単な作業なら、一度に依頼した方が効率的な場合もあります。
11.一つずつ質問してもらう方法
何を伝えればよいのか分からない場合は、ChatGPTに質問してもらう方法があります。
例えば、新商品の企画を考えているとします。
そのとき、
「新商品を企画したいです。必要な情報を整理するために、私へ一度に一つずつ質問してください。回答を受けてから次の質問へ進んでください」
と依頼します。
すると、ChatGPTが商品の目的、対象となるお客様、必要な機能、予算などを順番に確認できます。
この方法の利点は、最初から長い説明を準備しなくてもよいことです。
ただし、AIの質問が必ず適切とは限りません。
不要な質問だと思った場合は、
「その項目は今回必要ありません」
と伝えて構いません。
12.実際の画面を使う作業では何を伝える?
ホームページやソフトウェアの操作方法を質問する場合、環境によって画面が異なります。
例えば、WordPressでは、使用しているテーマやプラグインによって設定画面が変わる場合があります。
そのため、
「WordPressのボタンを修正する方法を教えてください」
という質問だけでは、正しい操作場所を特定できないことがあります。
そこで、
「WordPressの管理画面で問い合わせボタンの色を変更したいです。現在の画面をスクリーンショットで送ります。実際に見えている項目を確認してから、一度に一つの操作だけ案内してください」
と依頼します。
また、コードの修正なら、
「使用しているファイルを確認する前に、ファイル名や行番号を推測しないでください」
という条件が重要です。
実際の環境を確認せずに変更すると、ほかの部分に影響する可能性があります。
13.曖昧な言葉を具体的にする
プロンプトでは、「いい感じ」「適当に」「きれいに」などの言葉を使うことがあります。
日常会話では自然ですが、AIへ伝える場合は、何を意味するのか補足すると役立ちます。
例えば、
「この文章をいい感じにしてください」
という依頼です。
これを、
「専門知識がない人にも読みやすい文章にしてください。丁寧ですが堅苦しくない表現にし、元の意味は変更しないでください」
と変更します。
また、
「デザインをきれいにしてください」
ではなく、
「文字の読みやすさ、余白、情報の優先順位を改善してください。現在の色と写真は変更しないでください」
と指定できます。
ただし、どこまで具体的に伝えるべきかは、作業の目的によります。
アイデアを自由に広げたい場合は、あえて条件を少なくする方法もあります。
14.AIが期待と違う回答をしたら質問を見直す
例えば、ChatGPTへ、
「売上を改善する方法を教えてください」
と質問したとします。
すると、広告、値引き、商品開発など、幅広い提案が返ってきました。
しかし、本当に知りたかったのは、既存のお客様からの再注文を増やす方法だったとします。
この場合、質問の目的が十分に伝わっていなかった可能性があります。
そこで、
「新規顧客の獲得ではなく、既存のお客様からの再注文を増やす方法を考えたいです。値引きは前提にせず、対応品質、納期、情報提供の観点から提案してください」
と質問を修正します。
ただし、期待と違う回答になった原因が、必ずプロンプトにあるとは限りません。
AIが条件を見落とした場合や、正しい情報を持っていない場合もあります。
そのため、回答の問題点と質問内容の両方を確認しましょう。
15.同じ質問でも答えが変わるのはなぜ?
ChatGPTでは、同じ質問を入力しても、毎回まったく同じ回答になるとは限りません。
生成AIは、回答を生成する仕組み上、表現や説明の順序、提案内容が変わる場合があります。
また、利用するモデルや機能、会話の流れなどによっても結果が変わることがあります。
そのため、重要な仕事で回答の違いを比較したい場合は、条件を記録しておく方法が役立ちます。
例えば、
- 使用した質問文
- 参考にした資料
- 指定した条件
- 利用したAI
- 回答を得た日付
などです。
ただし、同じ条件をそろえたからといって、必ず同じ回答を再現できるわけではありません。
重要なのは、回答の再現だけではなく、正しい結果を確認できることです。
16.プロンプトを改善する3段階の方法
ここまでの内容を、実際に使いやすい形にまとめましょう。
第1段階:目的を明確にする
まず、何を実現したいのかを伝えます。
例えば、
「Excelの管理表を改善したい」
という目的です。
第2段階:必要な条件を追加する
次に、守るべき条件を伝えます。
例えば、
「既存の項目は変更しない」
「計算式の間違いを確認したい」
「入力済みデータを消さない」
という条件です。
第3段階:確認方法を指定する
最後に、どのように作業結果を確認するか伝えます。
例えば、
「元のExcelファイルと比較する」
「修正したセルを一覧にする」
「計算結果を検算する」
という方法です。
これらをまとめると、次のような質問になります。
「Excelの売上管理表を改善したいです。既存の項目と入力済みデータは変更せず、計算式の間違いを確認してください。修正が必要なセルと理由を一覧にし、変更後の計算結果を検算してください」
これなら、目的、条件、確認方法が明確です。
17.今日のミニレッスン
今回は、曖昧な質問を改善する練習をしてみましょう。
ステップ① 簡単な質問を入力する
まず、ChatGPTに次のように質問します。
「ホームページを改善する方法を教えてください」
回答を確認してみましょう。
ステップ② 目的を追加する
次に、
「会社のホームページで、初めて訪問する人が問い合わせ方法を見つけやすくしたいです。改善候補を考えてください」
と質問します。
最初の回答との違いを確認します。
ステップ③ 条件を追加する
続けて、
「現在の文章と写真は変更せず、問い合わせ導線の改善を考えてください。実際の画面を確認するまでは修正箇所を断定しないでください」
と依頼します。
ステップ④ 回答形式を指定する
「改善候補を、問題点、改善案、期待できる効果、確認すべきことの4項目で表にしてください」
と質問します。
ステップ⑤ 質問の不足を調べる
「ここまでの質問で、正しい改善案を考えるために不足している情報を整理してください。必要なことを一つずつ質問してください」
と依頼します。
ステップ⑥ プロンプト全体を改善する
最後に、
「これまでのやり取りを基に、目的、背景、条件、必要な資料、完成形を含む分かりやすい依頼文にまとめてください」
と質問します。
この練習では、質問を少しずつ具体的にすることで、回答がどのように変わるかを確認できます。
ソラ先生からひとこと
ChatGPTへ質問するとき、特別な言葉を使わなければならないわけではありません。
日常の言葉で、自然に質問して構いません。
ただし、仕事で正確な結果が必要な場合は、目的や条件を整理することが役立ちます。
何をしたいのか。
どんな状況なのか。
守らなければならない条件は何か。
何を根拠に判断するのか。
どのような結果が必要なのか。
これらが明確になるほど、ChatGPTとのやり取りを進めやすくなります。
また、AIの回答が期待と違った場合、質問を改善するだけでなく、AIの理解や事実確認に問題がないか調べることも必要です。
私は、プロンプトの上達とは、難しい命令文を覚えることではないと考えています。
自分が何を求めているのかを整理し、相手に伝わるように説明することです。
よい質問とは、長く複雑な質問ではありません。目的が明確で、必要な条件が伝わり、正しい結果を確認できる質問です。
次回【第55回】は「ChatGPTに複雑な仕事を依頼する方法|作業を分解し、途中確認をしながら完成まで進める実践講座」です。
今度は、複数の工程が必要な仕事を、ChatGPTと一緒に計画し、確認しながら進める方法を学びましょう。