東北へ移された人々。その移住は誰の政策だったのか
2014.05.01
律令国家が東北へ支配地域を広げていく過程では、関東などから人々が移されました。
ここで大切なのは、「移住した一人一人が悪かったのか」という話へ逃げないことです。
問題の中心は、その人々を動かした政策です。
国家が新しい支配地域を安定させるため、人を送り込み、土地を開き、城柵の周辺に新しい人口を配置していく。
人を移すことは、それ自体が支配の方法になります。
人口が増えれば耕地が広がる。
食料を供給できる。
軍や役所を維持できる。
そして中央の制度の中で生活する人々が増えていきます。
これは剣や弓を使う軍事行動とは違いますが、長い目で見れば同じ方向を向いています。
支配地域を定着させる。
現地に新しい秩序を根付かせる。
そのための政策です。
もちろん、移された一人一人にはそれぞれの人生があります。
しかし、その個人の事情を大きく描きすぎると、「なぜ人がそこへ移されたのか」という国家側の目的が見えなくなります。
現地の人から見れば、自分たちの生活圏へ新しい集団が入ってくる。
土地を使う。
水を使う。
畑を開く。
そしてその背後には国家の制度と軍事力がある。
この非対称性は、ぼかさない方がいいと思います。
戦争とは、戦場だけで行われるものではありません。
人を配置し、土地を押さえ、制度を置く。
それも支配を広げる方法でした。
新着記事
人気記事
カテゴリー
アーカイブ