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神さまは超能力者ではなかった

2013.06.29

神さまというと、不思議な力を持ち、人間にはできないことをする存在を想像します。

でも古代の神さまを、人々の暮らしから考えると、少し違う姿も見えてきます。

大神神社では、大物主大神について、国造りの神として農業、工業、商業、治病、
酒造、製薬、交通、航海など、人間の生活に関わるさまざまな働きを守る神として
信仰されてきたと説明しています。

ここで面白いのは、挙げられているものの多くが「暮らし」に直結していることです。

農業。

ものづくり。

薬。

酒。

交通。

航海。

どれも、人が生きていくために必要な仕事です。

少彦名神も、大神神社では薬の神として祀られています。

もちろん、神話に登場する神々を実在した一人の人物だったと決めることはできません。

ただ、なぜ人々がそうした神々に農業や医薬、酒造、交通などの役割を
重ねてきたのかは考えることができます。

昔の人にとって本当にありがたいのは、空を飛ぶ力ではありません。

病気の時に助けてくれる。

水を引いてくれる。

作物を育てられるようにしてくれる。

道具を作ってくれる。

遠くまで安全に移動できるようにしてくれる。

そういう力だったはずです。

もし地域に、新しい農耕技術を伝えた人がいた。

薬草や治療法を知っている人がいた。

水路を作った人がいた。

酒の作り方を教えた人がいた。

その人たちは、当時の人から見れば十分に「すごい人」です。

その仕事が何世代も語り継がれるうちに、人物そのものより
「何をしてくれた人だったのか」が残り、やがて神さまの物語になっていった。

神さまの凄さは、超能力ではなく実務能力だった。

そう考えると、古代の神話は急に人間の世界へ近づいてきます。

人の暮らしを良くする知恵や技術を持つ人。

困った時に頼られる人。

みんなのために働いた人。

古代の人々が神と呼んだ存在の中には、そんな人たちの記憶も重なっている
のかもしれません。

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