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レオナルド・ダ・ヴィンチさま|なぜ、文字を逆さに書いたのか?

2013.05.09

レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿には、ちょっと変わった特徴があります。

文字が逆なのです。

右から左へ書かれていて、鏡に映すと普通に読むことができる。

いわゆる「鏡文字」です。

初めて聞いたとき、

「秘密を知られないように暗号で書いていたのかな?」

と思いました。

ダ・ヴィンチなら、なんとなくやりそうです。

ところが調べてみると、話はそれほど単純ではありません。

本当に秘密を隠していたのか

ダ・ヴィンチには、人体解剖や軍事技術など、当時としては扱いの難しい研究もありました。

そのため、

「研究内容を盗まれないために逆向きに書いた」

という話があります。

確かに面白い。

でも鏡に映せば読める程度なら、秘密を守る方法としてはかなり弱い気もします。

本気で隠したいなら、もう少し難しい暗号を使った方がよさそうです。

しかも、ダ・ヴィンチは秘密とは関係なさそうな日常的なメモにも鏡文字を使っています。

どうも「秘密を守るため」だけでは説明しにくい。

左利きだった

ダ・ヴィンチは左利きだったことで知られています。

ここから、とても現実的な説明が出てきます。

普通に左から右へ文字を書くと、左手が書いたばかりのインクの上を通ります。

当時はペンとインクです。

乾く前に手が触れれば、文字がにじみます。

でも右から左へ書けば、左手は書いた文字の上を通りません。

なるほど。

ものすごい秘密があると思ったら、

単にその方が書きやすかった。

もしそうなら、急にダ・ヴィンチが身近になります。

自分に合う方法を使う

ここで面白いと思ったのは、鏡文字そのものではありません。

みんなが左から右へ書いているから、自分もそうする。

そうではなく、

自分にとってやりやすい方法を使う。

もし鏡文字が左利きゆえの実用的な工夫だったとすれば、ダ・ヴィンチは文字を書くことについても、自分なりの方法をつくっていたことになります。

普通と違う。

でも本人には合理的。

こういうことは、ものづくりにもよくあります。

「普通はこうする」に理由はあるか

仕事をしていると、

「普通はこうします」

という言葉が出てきます。

もちろん、長年使われている方法には理由があります。

安全だから。

精度が出るから。

効率がいいから。

失敗しにくいから。

だから基本は大切です。

でも、

「昔からそうしているから」

だけなら、一度考えてみてもいい。

なぜこの順番なのか。

なぜこの工具なのか。

なぜこの持ち方なのか。

なぜこの方法なのか。

理由まで分かれば、その条件が変わったときに別の方法を考えることができます。

人に合わせるのか、目的に合わせるのか

ダ・ヴィンチの目的が、

「みんなと同じ方向に文字を書くこと」

だったなら、鏡文字は間違いです。

でも目的が、

「自分の考えを速く、きれいに記録すること」

だったならどうでしょう。

右から左へ書く方が本人に合っているなら、それでもいい。

方法は目的ではありません。

目的を達成するために方法があります。

これは簡単なことですが、仕事をしていると逆になることがあります。

いつの間にか方法を守ることが目的になってしまう。

変わっていることと、合理的なこと

人と違うことをすれば、変わった人に見えます。

ダ・ヴィンチの鏡文字も、今見るとかなり変わっています。

でも本人にとって合理的だったのなら、それは奇抜な行動ではありません。

ただ使いやすい方法を選んだだけです。

もちろん、ダ・ヴィンチが鏡文字を使った理由を一つだけに決めることはできません。

左利きだけが理由だったのか、別の意図もあったのか。

そこは今となっては本人に聞けません。

でも私は、この鏡文字を見ていると、

「普通と違う」ことと「間違っている」ことは同じではない

と思います。

株式会社アリスでも、一般的な方法は大切にします。

でも、目的や条件が違えば方法を変えることもあります。

みんながそうしているからではなく、

「なぜ、この方法なのか?」

そこまで考えて選ぶ。

ダ・ヴィンチの逆さ文字を眺めながら、そんなことを考えました。

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