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レオナルド・ダ・ヴィンチさま|専門を越えると、見えるものがある

2013.05.03

レオナルド・ダ・ヴィンチを現代の職業に当てはめようとすると、少し困ります。

画家。科学者。発明家。技術者。解剖学者。建築家。

どれも間違いではありません。でも、どれか一つを選ぶと、残りのダ・ヴィンチがこぼれてしまいます。

もしかすると本人にとっては、最初からそんな境界線はなかったのではないでしょうか。

鳥の飛び方を調べることも、人体の構造を見ることも、水の流れを観察することも、機械を考えることも、すべて「世界はどういう仕組みで動いているのか」を知るための一つの行動だった。

そう考えると、あれほど違う分野に手を伸ばしたことが少し分かる気がします。

鳥と機械は別のもの?

鳥と機械は、普通ならまったく違うものです。

一方は生き物で、もう一方は人間がつくったもの。

でも「飛ぶ」という現象だけを見れば、共通するものがあります。翼があり、空気を受け、力を生み、姿勢を変える。

鳥そのものをつくる必要はありません。

なぜ飛べるのかという原理が分かれば、その考え方を別のものへ移すことができます。

人体と機械も同じです。

腕を曲げるとき、筋肉が力を生み、骨と関節が動きます。機械なら、力を発生させ、それを部品へ伝え、回転や直線運動に変えます。

もちろん人体と機械は同じではありません。

でも「力がどう伝わり、どう動くのか」というところまで下りれば、違う世界の中に似たものが見えてきます。

水を見て、別のことを考える

ダ・ヴィンチは水の流れも繰り返し観察しています。

川だけではありません。水が障害物に当たったときの動き、渦、波、流れの変化まで描いています。

ここでも「水」という名前だけを見ていたら、水の研究で終わります。

でも「流れるもの」として考えれば、話は広がります。

自然の中で見つけた現象を、その場所だけの知識として閉じ込めない。

別のところにも同じ原理がないかを見る。

この考え方が、ダ・ヴィンチの世界をどんどん広げていったのではないでしょうか。

専門知識は必要。でも専門だけではない

専門を越えるというと、「専門なんて必要ない」という話に聞こえるかもしれません。

私は逆だと思います。

深く知らなければ、原理まで見えません。

ダ・ヴィンチが人体を少し眺めただけなら、あれほど細かな解剖図は描けなかったでしょう。鳥をぼんやり見ているだけなら、翼の動きまで研究することもなかったでしょう。

一つのことを深く見る。

そこで得たものを、その場所だけに置いておかない。

別の問題に出会ったとき、

「これ、あの仕組みと似ていないか?」

と考えてみる。

専門を越えるというのは、何でも浅く知ることではなく、深く知ったものを別の世界へ持っていくことなのかもしれません。

知識がつながる瞬間

ものづくりでも、まったく違う業界から相談が来ることがあります。

医療。

食品。

半導体。

研究開発。

自動車。

使われる場所も、求められる性能も違います。

でも実際に問題を分けていくと、以前経験したことが使える場合があります。

固定する。

滑らせる。

絶縁する。

摩耗を減らす。

薬品に耐える。

熱に耐える。

光を通す。

業界名は違っても、問題そのものには共通する部分があります。

過去とまったく同じ仕事でなくても、以前の経験から使える原理を探すことはできます。

境界線は、人間が引いたもの

自然の中には、「ここから物理学」「ここから生物学」「ここから工学」という線はありません。

鳥は物理法則を使って飛んでいるわけですが、鳥自身は物理学を知りません。

人体も力学と無関係ではありません。

水の流れも、地形も、植物も、光も、それぞれが完全に独立して存在しているわけではありません。

後から人間が理解しやすいように名前を付け、分野を分けました。

それはとても便利です。

でも、問題そのものまでその境界線に従っているとは限りません。

ダ・ヴィンチは、そんな境界線が今ほど固まっていない時代に生きました。

だからこそ、目の前に面白いものがあれば分野を気にせず入っていけたのかもしれません。

そして私は、そこに今でも使える考え方があると思います。

問題に名前を付ける前に、まず仕組みを見る。

「これは自分の専門ではない」で終わらせず、知っている原理がどこかに使えないか考えてみる。

株式会社アリスでも、特定の業界だけに仕事を限定していません。初めて見る相談でも、まず何が問題なのかを考えます。

専門を持ちながら、専門の中だけに閉じない。

ダ・ヴィンチの仕事を見ていると、そんなものづくりの面白さを感じます。

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