会社ができるのは、成長できる環境をつくるところまで。
人を育てるという言葉があります。
会社でも、「人材育成」は大切なテーマです。
知識を教える。
仕事の方法を伝える。
経験を積ませる。
目標を設定する。
こうした取り組みは、もちろん必要です。
ただ、長年多くの人と仕事をしてきて感じるのは、会社が人の成長をすべてつくれるわけではないということです。
同じ環境で働いていても、成長の仕方は一人ひとり違います。
教わったことをすぐ試す人もいます。
一度失敗してから、本気で考え始める人もいます。
しばらく時間が経ってから、以前教わったことの意味に気づく人もいます。
人の成長には、それぞれの速度があります。
(株)アリスでは、会社の役割は、全員を同じ速さで同じ形へ育てることではないと考えています。
成長できる環境を整えること。
必要な考え方を伝えること。
経験する機会をつくること。
分からないことを聞ける関係をつくること。
失敗しても、そこから学べるようにすること。
まずは、そうした土台をつくることが会社の責任だと思っています。
例えば、機械加工の仕事であれば、最初は材料の準備や測定、仕上げなどから始まります。
経験を重ねれば、加工条件や工具、段取りについても学んでいきます。
しかし、方法を覚えるだけでは、初めての仕事に対応することはできません。
なぜ、この条件を選ぶのか。
なぜ、この工程で確認するのか。
違う結果が出たとき、何を見直すのか。
こうした考え方まで理解して初めて、自分で判断できるようになります。
会社は、その材料を伝えることができます。
先輩やエンジニアが、経験から学んだことを共有することもできます。
挑戦できる仕事を任せることもできます。
しかし、その経験を自分のものにしようとするかどうかは、最終的には本人次第です。
これは、責任を本人だけに預けるという意味ではありません。
教える側も、伝え方を工夫する。
仕事を任せっぱなしにしない。
結果だけでなく、そこへ至る過程も見る。
会社側も、自分たちにできることを考え続ける必要があります。
そのうえで、最後の一歩だけは本人にしか踏み出せません。
「もっと分かるようになりたい」
「次は自分でやってみたい」
「この仕事を任せてもらえるようになりたい」
そう思った瞬間から、同じ仕事でも吸収するものが変わっていきます。
(株)アリスでは、人を思いどおりに変えることを目指しているわけではありません。
一人ひとりが、自分自身で成長したいと思ったときに、その一歩を踏み出せる環境を整える。
それが、会社としてできる大切なことだと考えています。