東大阪の試作製作なら【株式会社アリス】試作、試作品製作、試作品加工、切削加工、試作金型成形、精密部品加工

  • トップ
  • トピックス
  • ポリカーボネート(PC)とは?耐衝撃透明材の特徴用途と加工注意点

ポリカーボネート(PC)とは?耐衝撃透明材の特徴用途と加工注意点

2025.12.24 チップス
ポリカーボネート(PC)とは?耐衝撃透明材の特徴・用途・加工の注意点

装置の点検窓、保護カバー、透明扉、操作パネルのカバーなど、「中が見えるのに割れにくい透明材」が必要な場面は多いものです。ここで候補に上がりやすいのがポリカーボネート(PC)。一方で、現場では「穴の周りからクラックが走った」「ネジ締結後に白くなった」「洗浄したらヒビが入った」といったトラブルも起こりがちです。

本記事ではまず、PCの基本と“なぜ割れにくいのか/なぜ割れるのか”の全体像を、設計・品質・試作の目線で整理します。

ポリカーボネート(PC)とは

ポリカーボネート(PC)は、エンジニアリングプラスチック(機械特性や耐熱性に優れた樹脂)の代表格です。透明樹脂の中では「強度寄り」の材料で、ガラスのように割れやすい透明材の弱点を、樹脂のしなやかさで補えるのが特徴です。

透明樹脂の中での立ち位置

透明材料といっても、重視するポイントで最適解は変わります。

  • 透明性・光学性を最優先:アクリル(PMMA)が強い
  • 割れにくさ(耐衝撃)を最優先:PCが強い
  • 成形しやすさ・コスト・用途バランス:PET系が候補になることも

つまりPCは、「透明+耐衝撃」を軸に考えるときの第一候補になりやすい材料です。

供給形態と試作での使われ方

試作・小ロットでは、板材(シート)からの切削加工が多く、次いで丸棒・角棒、場合によっては真空成形用シートが使われます。量産では射出成形が一般的ですが、試作段階から“割れにくさ”を作り込むには、板材加工でも成形でも共通する考え方(応力の扱い)が重要です。

PCが「割れにくい透明材」と言われる理由

衝撃に強い=割れにくい、の意味

PCは衝撃が加わったとき、力を一点で受けずに材料全体で分散しやすい性質があります。ガラスや一部の透明樹脂のように「パキッ」と破断しにくく、たわみながらエネルギーを吸収できるため、落下・ぶつかり・接触のある装置カバーで採用されやすいのです。

ただし「割れない」ではない

“耐衝撃”は万能ではありません。次の条件が重なると、PCでもクラック(ひび割れ)や白化が起きます。

  • 角や穴など、形状的に応力が集中する
  • ネジ締結や圧入で、材料内部に引張応力が残る
  • 切削や曲げで、加工由来の残留応力が入る
  • アルコール等の薬品が触れ、応力割れが進む

この「応力+薬品+形状」の重なりが、品質トラブルの典型パターンです。

PCの主な特徴(強み)

耐衝撃性

透明材の中で、割れにくさを重視するならPCは非常に有力です。保護カバー、点検窓、治具の当て板など、ぶつかりが避けられない用途に向きます。

耐熱性と寸法安定

PCは、一般的な汎用樹脂より高温域で形状を保ちやすく、装置内部の温度上昇があるケースでも選びやすい材料です。透明材で「熱がかかる」「熱変形で干渉したくない」ときに検討価値があります。

難燃など“要求に合わせたグレード”を選べる

装置・電装周りでは難燃性や規格対応が求められることがあります。PCは用途に応じたグレード展開が多く、要求仕様に合わせて材料選定しやすいのも強みです(ただし同じPCでも性能は一定ではありません)。

PCの弱点(設計・加工で事故につながる点)

傷つきやすさ(外観の管理が必要)

PCは表面硬度の観点で、傷が目立ちやすい傾向があります。透明部品は細かな擦り傷でも“曇り”として見えるため、保護フィルムの扱い、仕上げ条件、搬送・梱包まで含めた管理が欠かせません。

応力割れ(ケミカルクラック)が起こり得る

PCの代表的な注意点が、応力割れです。材料に引張応力が残っている状態で、特定の薬品(洗浄剤・溶剤・接着剤・潤滑剤など)が触れると、微細なクラックが進展しやすくなります。見た目は小さなヒビでも、時間経過で一気に広がることがあるため、品質部門が特に警戒すべきポイントです。

紫外線で黄変しやすい場合がある

屋外や強い照明下で使うと、黄ばみや劣化が問題になることがあります。用途によっては耐候グレードや表面処理、別材料の検討が必要です。

透明材の比較:PCはいつ効く?(早見表)

材料得意なこと代表用途つまずきやすい点
PC(ポリカーボネート)割れにくい透明カバー点検窓、保護カバー、透明扉応力割れ、傷、黄変(条件次第)
アクリル(PMMA)透明度・外観重視表示窓、カバー、サイン衝撃で割れやすい、欠けやすい
PET系(例:PETG等)加工・成形のしやすさ簡易カバー、ケース温度・薬品条件で適否が分かれる

PCは「ぶつかる」「落ちる」「割れると危険」など“衝撃リスク”がある透明部位で力を発揮します。一方で、穴周り・締結・薬品が絡む設計は、PCの弱点を踏みやすい領域です。

PCが向く用途・要注意な条件

PCが向くケース(設計者の判断軸)

次のような条件がある場合、PCは「候補に入れないと損をする」材料です。

  • 透明部品だが、作業者が触る・当たる・工具が接触する可能性がある
  • 破損時に飛散や欠けが問題になる(安全上“割れにくさ”が欲しい)
  • 温度が上がる筐体内で、透明窓の変形やたわみを抑えたい
  • 部品点数が多く、クリアランスが厳しい(寸法のクセを読みやすい材料が良い)

要注意な条件(仕様が決まる前に潰す)

一方で、次の条件があるときは「PCを使う=設計と加工条件をセットで管理する」前提になります。

  • アルコール清拭や溶剤洗浄が日常運用に入る
  • ネジ締結が多い、締結トルクのばらつきが出やすい
  • 角穴・切り欠き・細いリブなど、応力集中形状が避けられない
  • 透明外観を最優先で、擦り傷や曇りが許容されない

ここで重要なのは、PCが悪いのではなく「PCの弱点が表に出る条件を、最初に把握しておく」ことです。試作段階で運用環境(洗浄剤、温湿度、締結条件)を決め打ちできるほど、後工程の手戻りは減ります。

「白化」は危険信号として扱う

PCを曲げたり締め付けたりしたときに、角や穴の周りが白っぽく見えることがあります。これは材料が局所的に強く変形しているサインで、内部に応力が溜まっている可能性があります。白化そのものが即破損ではなくても、その状態で薬品が触れたり、温度変化・振動が加わったりすると、クラックの起点になりやすい点に注意が必要です。

試作前に共有したい「3つの前提」

PCは条件次第で結果が大きく変わるため、試作を依頼する前に次の3点を関係者で揃えておくと失敗が減ります。

  • どんな締結をするか(タッピングか、インサートか、ボルト+ナットか)
  • 何が触れるか(清掃・消毒・潤滑・接着など、現場の薬品)
  • どこまで外観を求めるか(透明度、傷、切断面の見え方)

この前提が決まれば、設計のR付けや面取り、加工条件、必要なら応力除去まで、打ち手を選びやすくなります。

次のパートでは、装置/筐体で事故が多い「穴あけ・締結・曲げ」と、品質で潰したい「応力割れ」の原因を、具体的な設計ルールと加工のコツに落とし込みます。

設計で効く注意点:穴周り・締結・Rでクラックを減らす

PCのトラブルは、材料そのものより「応力が集まる設計」と「応力を増やす加工」が重なって起きます。まずは図面の段階で、割れの起点を作らないことが最短ルートです。透明部品は一度クラックが入ると“見た目”でも不合格になりやすいため、後戻りしないための設計ルールを先に決めておきます。

角・切り欠きは“Rが命”

透明部品で多いのが、角穴・角窓・コの字形状。ここは応力が一点に集まり、微小な傷でもクラックの起点になります。

  • 直角コーナーは避け、可能な限りRを付ける
  • “見た目の角”が必要でも、内側のコーナーだけはRを残す
  • 肉厚が急に変わる段差は、テーパーやRでつなぐ
  • 角穴をどうしても作るなら、加工方法(工具径)に合わせてRを設計に取り込む

Rは「気休め」ではなく、割れの発生確率を下げる実務的な手当です。

穴周りで割れる典型パターン

穴の近くは、締結力・加工傷・残留応力が重なって危険になりやすい領域です。

  • 穴のエッジに面取り(C)を入れ、欠け・微小クラックを残さない
  • 穴から外形端までの距離が短い設計は避ける(割れが外へ走りやすい)
  • 皿もみ・ザグリは急な形状変化になりやすいので、寸法と加工方法をセットで検討する
  • 穴位置がシビアな場合ほど、組立時にこじりが出ない公差設計(逃げ)を優先する

「穴の寸法」だけでなく、「穴の周囲形状(面取り・R・座面)」まで図面で指定すると、試作段階から安定します。

締結は“押し付け”より“支える”発想へ

PCは締め付けで割れない材料と思われがちですが、透明材は外観上の微小クラックが致命傷になります。座金や座面設計で、面で受けることが重要です。

締結方式ありがちな不具合設計・試作でのコツ
タッピング(樹脂ねじ)締め過ぎで白化・クラック下穴径とねじ種類を合わせ、トルク管理。繰返し分解があるなら避ける
ボルト+ナット座面周りの割れ、局所圧痕大径座金で面圧を下げる。角座面は避け、面取り・Rを入れる
金属インサート熱/圧入条件でクラックインサート方式(熱圧入等)を前提に肉厚と逃げを確保。局所過熱を避ける
クリップ・ヒンジ繰返しで亀裂が進展角を作らずR連続に。応力が集中する根元は厚みとRで逃がす

締結に関しては「材料選定」より「締結設計」が支配的です。締付トルクの上限を決め、作業標準に落とすところまでが品質対策になります。ゴムパッキンや樹脂ワッシャを併用して“面圧をならす”だけでも、白化や割れの発生確率が下がることがあります。

ボス・リブは“急に厚くしない”

筐体窓の裏側にボスやリブを立てると、肉厚差が大きくなり、そこが応力の溜まり場になります。

  • ボス根元はRでつなぎ、急な段差を作らない
  • リブは“薄く長く”を基本にし、根元の角を避ける
  • 透明窓の周囲は、締結点だけで引っ張らないようにフレームで支える

設計レビューでは「角」「穴」「肉厚差」「締結点」の4点を見直すだけでも、事故の多くを先に潰せます。

加工の注意点:切削・穴あけ・曲げで残留応力を増やさない

切削加工:溶け・白化・ビビりを避ける

PCは切削熱がこもると、溶けや曇り、仕上げムラにつながります。

  • 切れ味の良い刃物を使い、摩擦熱を増やさない
  • 切粉の排出を邪魔しない刃形・逃げを選ぶ
  • 仕上げ面は“削り過ぎ”より“熱を入れない”ことを優先する
  • 透明外観が重要なら、加工面の向き(見える面/隠れる面)を図面段階で整理する

透明部品は面粗さだけでなく、微小な溶けや引きずり痕も外観に出ます。保護フィルムの剥がしタイミング、搬送時の擦れ対策まで含め、加工~検査~梱包を一連で設計するのがコツです。

穴あけ:ドリル条件と“最後の一手”が差を作る

穴加工は、割れを生む要因が多い工程です。

  • 逃げのない状態で貫通させない(裏当て材で欠けを抑える)
  • いきなり狙い径にせず、段階的に下穴→仕上げの順で応力を減らす
  • 面取りでエッジの欠けを消し、応力集中を減らす
  • 刃物が摩耗していると、削るのではなく“押し潰す”状態になりやすい

「穴の周りだけ割れる」場合は、刃物の摩耗・回転数過多・切粉詰まりを疑うと切り分けが早くなります。

曲げ加工:シャープに曲げない、無理に曲げない

薄板の冷間曲げは可能でも、曲げRが小さいと白化や微小クラックが残りやすくなります。厚板や外観重視なら、加熱ライン曲げなどの方法を検討します。曲げ後に薬品が触れる運用なら、応力除去(焼なまし)を視野に入れると事故を減らせます。

焼なまし(応力除去):割れの“芽”を減らす手段

切削・穴あけ・曲げで入った残留応力は、時間差でクラックにつながることがあります。焼なましはその残留応力を下げる代表的な方法です。条件は板厚や形状で変わるため、材料メーカーの推奨条件に従い、寸法変化の影響も含めて試作で見極めるのが安全です。

応力割れ(ケミカルクラック)を“原因分解”する

応力割れは、次の掛け算で起こることが多い現象です。

  • 残留応力(加工・締結・曲げ)
  • 外力(振動、押し付け、温度伸縮)
  • 薬品(洗浄剤、溶剤、接着剤、油分)
触れやすいものリスク傾向先に決めておく対策
アルコール清拭条件次第でクラック助長締結部・曲げ部に触れない運用、代替クリーナーの検討、事前テスト
溶剤系洗浄高リスクになりやすいPC使用を避けるか、洗浄工程を変更。どうしても必要ならサンプル評価必須
接着剤・プライマー相性差が大きいまず機械固定を優先。接着するなら小片で割れ/白化の確認
潤滑油・離型剤成分で差が出る付着箇所を限定し、拭取り条件と評価をセットにする

品質担当としては、「いつ」「どこから」「何をした後に」割れたかを記録し、締結トルク・洗浄剤・温湿度・保管期間を紐づけるだけでも再発防止が進みます。特に、発生箇所が“穴の端”や“曲げの内側”に偏る場合は、残留応力が主因になっている可能性が高いです。

また、クリーナーだけでなく、保護フィルムの糊・シール材・両面テープの成分でも割れが進む場合があります。運用で触れるものは“全部”を対象に、同条件で簡易評価しておくと安心です。

原因切り分けで役立つ質問例は次の通りです。

  • 割れは組立直後か、数日~数週間後か
  • 割れた部位に清拭・洗浄・接着の工程があるか
  • 同じ図面でも、締結トルクや作業者でばらつきがあるか
  • クラック起点に欠け・工具傷・レーザー切断面がないか

次のパートでは、試作でやっておきたい評価項目(締結・薬品・温湿度・外観)と、外注時に図面へ落とすべき指定ポイントを、実務のチェックリストとしてまとめます。

試作でやっておきたい評価項目:割れを「起こして」「潰す」

PCは、条件が揃うと“時間差”でクラックが出ることがあります。試作では「割れないこと」を祈るより、割れの起点になりそうな条件を意図的に当て、早い段階で原因を潰す方が安全です。設計・品質・試作担当で共有しやすい評価項目をまとめます。

評価項目目的例:やり方見るべきポイント
締結(トルク)締め過ぎ/ばらつきで割れないか確認トルク上限を決め、段階締めで外観を観察白化の有無、穴端の微小ヒビ、座面の圧痕
清拭・洗浄応力割れの相性確認現場で使うクリーナーで拭取り→一定時間放置数時間~数日後のクラック、曇り、白化
温湿度・時間経過遅れ割れの再現高温多湿や温度サイクル後に外観確認目視で見える筋、コーナーの割れ進展
外観・傷透明品質の合否合わせ照明条件を決め、評価者間で基準を統一擦り傷、切断面の曇り、打痕、ムラ

特に締結評価では、締付トルクだけでなく「座金径」「座面の面取り」「ゴム材の介在」など、周辺条件を変えながら最適点を探すのが実務的です。品質視点では“割れた/割れない”の二択ではなく、白化や微小クラックを前兆として扱うと、量産立ち上げでの事故を減らせます。

外注・社内連携で失敗しないための指示ポイント

PCは同じ図面でも、加工方法や扱いで結果が変わります。試作依頼時に「図面へ入れる指示」と「口頭で補足する情報」を分けて整理しておくと、手戻りが減ります。

図面に入れると効く指定(割れと外観を減らす)

指定したい項目記載例(考え方)狙い
面取り・R穴口C、内コーナーR、エッジR欠け・応力集中の低減
仕上げ面の優先順位「この面は外観面」など透明外観の安定
締結周りの座面座面径、座金使用前提、皿形状の制限面圧低減、白化抑制
公差の考え方こじりが出ない逃げを確保組立応力の低減
保護フィルム扱いフィルム残し/剥がし指定擦り傷の抑制

口頭・仕様書で伝えるべき情報(応力割れ対策に直結)

  • 現場で触れるもの:アルコール、洗浄剤、油分、シール材、両面テープなど
  • 使用温度・雰囲気:筐体内温度、結露の可能性、屋外/UVの有無
  • 締結条件:締付トルク目標、分解頻度、座金やゴムの使用有無
  • 許容できる外観:微小傷の許容、切断面の見え方、透明度の優先度

この4点が分かるだけで、加工条件や必要な応力除去の要否を判断しやすくなります。

よくある質問:レーザー加工・接着・外観トラブル

レーザー加工はできる?

結論としては「できる場合もあるが、透明部品の品質要求が高いほど注意が必要」です。レーザーは熱で切るため、切断面に熱影響が残りやすく、微小クラックの起点になったり、切断面が白っぽく見えたりすることがあります。外観面・締結部近傍・後から薬品が触れる部位は、切削や別工法を優先し、レーザーは“使う場所を選ぶ”のが現実的です。

接着はできる?

PCは接着剤の種類によって白化や応力割れが起きることがあるため、まずは機械固定(ねじ、クリップ、枠で支える)を優先するのが安全です。どうしても接着が必要な場合は、実部品と同じ加工条件・締結条件で小片テストを行い、「直後だけでなく数日後もクラックが出ないか」を確認してから進めると、後戻りを減らせます。

透明外観を安定させるコツは?

透明部品は、加工面そのものより“扱い”で傷が入ることが多いです。保護フィルムの残し方、作業台の清掃、梱包材、検査照明など、工程全体でルールを決めておくと、外観不良が激減します。

症状主な原因候補まず試す対策
穴の端からクラック面取り不足、ドリル摩耗、締結こじり穴口C追加、裏当て、下穴→仕上げ、逃げ公差見直し
締結後に白化面圧過大、座面角、締付過多大径座金、座面R/C、トルク上限設定、ゴム介在
清拭後にヒビ応力+薬品の相性クリーナー変更、触れる位置を限定、応力除去の検討
角穴のクラック内コーナーが鋭い、加工傷内R追加、工具径に合わせた設計、傷の残らない加工条件

まとめ

ポリカーボネート(PC)は、透明材の中でも耐衝撃性に優れ、装置の点検窓・保護カバー・透明扉など「割れにくい透明部品」が必要な場面で頼れる材料です。
一方で現場トラブルの多くは、材料の欠点というより 「応力(締結・曲げ・加工由来の残留応力)」×「形状(角・穴・肉厚差)」×「薬品(アルコール清拭、洗浄剤、接着剤など)」 が重なって起きる“設計・加工・運用の合わせ技”です。だからこそ、対策の要点は次の3つに集約されます。

  • 設計:R・面取り・座面で応力集中を作らない/締結は“面で受ける”前提で考える
  • 加工:切削熱・穴あけ条件・曲げRを管理し、残留応力を増やさない(必要なら焼なましも検討)
  • 試作評価:締結トルク×薬品×温湿度(時間差)をセットで評価し、割れの芽を早期に潰す

もし「穴周りのクラックが怖い」「締結後に白化する」「清拭・洗浄が避けられない」「透明外観の基準が厳しい」といった条件があるなら、図面が固まる前の段階で“設計と加工条件をセット”で決めておくことが、手戻り削減の最短ルートです。

株式会社アリスでは、PC(ポリカーボネート)の透明部品について、試作・小ロットの切削加工を中心に、用途と運用条件を踏まえた割れにくい形状・加工条件の考え方まで含めてご相談いただけます。ご依頼時は、以下が分かると提案と立ち上げが一気に早くなります。

  • 締結方法(タッピング/ボルトナット/インサート など)
  • 触れるもの(アルコール、洗浄剤、油、テープ、接着剤 など)
  • 外観要求(透明度・傷の許容・見える面の指定)
  • 使用環境(温度、結露、UVの有無、振動)

「PCでいけるか判断したい」「割れ・白化を前提に試作で潰したい」といった段階でも構いません。図面(PDF/STEP)と使用条件を添えて、株式会社アリスまでお気軽にご相談ください。透明部品の“後から割れる”リスクを、試作段階で現実的に減らしていきましょう。

アリスの仕事に対する想いを見る オリジナルサンプル制作