ABS(透明)切削加工品の透明度向上について
2022.05.16
透明ABS材の切削加工品について、
切削後に磨き処理を行い、透明度の向上を検証しました。
ワークの半分を切削加工後に研磨処理することで、
素材特性による透明度の違いがより分かりやすく確認できます。
透明度の比較(高い順)
透明度は、以下の素材順で高く、仕上がりも良好となります。
- アクリル(PMMA)
- ポリカーボネート(PC)
- ABS(透明)
- TPX(PMP)
この差は、素材内部の粒子構造の違いによるもので、
粒子が細かい素材ほど光の散乱が少なく、結果として透明度が高くなります。
重要な点として、
表面を磨くだけでは、素材が本来持つ透明度以上にはなりません。
仕上げ加工によって改善できるのは表面状態であり、
最終的な透明度は素材特性に大きく左右されます。
今回の仕上がりでは、
注意して見なければ素材の違いが分からないレベルまで透明度が向上しました。
ただし、色味の違いや、重量感、硬さには素材ごとの違いがあります。
並べて比較すると差は分かりますが、
単体で見る場合には、その差は非常に小さく感じられます。
ABS(透明)材の特徴と使いどころ
透明ABSは、
- 材料コストが比較的安価
- 切削加工がしやすい
- 研磨・仕上げ工程との相性が良い
といった特長があります。
そのため、
「最高レベルの透明度までは不要だが、ある程度の可視性があれば良い」
という用途においては、
コストと加工性のバランスが取れた有効な選択肢となります。
(株)アリスでは、透明度の要求レベルや用途に応じて、
素材にこだわりすぎず、透明ABSを含めた最適な材料提案を行っています。
注意点(厚み条件)
※ 高い透明度が確保できる透明ABSは、板厚10mmまでとなります。
※ 10mmを超える厚みについては、従来品と同様に透明度は低下します。
用途・形状・必要な透明度に応じた素材選定や加工方法について、
透明切削加工をご検討の際は、ぜひ(株)アリスにご相談ください。
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