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【前編】ABS(透明)素材と向き合う ― 透明とは何かを問い直す ―

2023.10.06

ABS(透明)の透明化処理結果について、正直に言えば最初の印象は決して
良いものではありません。

「これを透明と呼んでよいのだろうか?」

それが、加工前の素材を目にしたときの率直な感想でした。

一般的に透明材料と聞くと、アクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)
のような、澄んだクリア感を想像される方が多いと思います。

しかし、ABS(透明)素材は、そのイメージとは大きく異なります。

表面状態は粗く、成形段階ですでに凹凸が目立ち、透明感というより
「半透明」に近い印象を受けます。

それにもかかわらず、材料価格は決して安価とは言えず、期待値との
ギャップが非常に大きい素材です。

開発試作において重要なのは、「カタログ上の透明」という言葉ではなく、
実際に加工し、仕上げたときにどこまで使えるかという現実的な評価です。

(株)アリスでは、素材の良い面も悪い面も隠さず、まずは事実として
受け止めるところから技術検証を始めます。

ABS(透明)は、そもそもアクリルの代替として設計された素材ではありません。

強度、加工性、コスト、耐衝撃性など、別の価値軸で評価されるべき材料です。

透明化処理を行う前段階として、この素材の限界と可能性を正しく理解することが、
すべてのスタートになります。

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