試作金型による樹脂成形 ― 量産判断に使える試作品をつくるために
開発段階における樹脂成形品の試作では、「どこまで量産に近い状態で評価できるか」が重要な判断ポイントになります。(株)アリスでは、単なる形状確認に留まらず、量産移行を見据えた評価に使える試作品を目的として、試作金型による樹脂成形を行っています。
試作金型とは、モールドベースを共有化し、キャビティ部をカセットタイプとする金型構成です。この方式により、金型の新作範囲を必要最小限に抑え、短納期対応とコスト低減の両立を可能にしています。一方で、「簡易金型」という言葉から想像されがちな精度妥協や評価不足を前提とした考え方は取っていません。
(株)アリスの試作金型では、金型材質に加工性の良いアルミを採用することで、金型製作スピードを高めつつ、形状再現性を確保しています。アルミ金型は寿命面では本型に劣りますが、試作・量産前評価に必要なショット数に対しては十分な性能を持ち、開発段階において合理的な選択肢となります。
また、寸法精度やヒケ・ソリといった成形特性についても、本型と大きく乖離しない条件設定を重視しています。単に樹脂が充填できれば良いのではなく、実際の量産成形で問題になり得る要素を、試作段階で把握できることが重要だからです。そのため、形状設計やゲート位置、肉厚バランスなども含めて、評価用途を前提とした金型設計を行います。
試作金型による樹脂成形は、「早く・安く作るための手段」ではなく、「正しい判断をするための工程」だと(株)アリスは考えています。評価に使えない試作品は、結果として手戻りや設計修正を増やし、開発全体のスピードを落としてしまいます。
インジェクション成形品として納品される試作成形品は、外観・寸法・組付け確認など、量産を見据えた各種評価に使用可能です。試作段階から成形品としての完成度を意識することで、次の工程に進むための確かな判断材料を提供することが、開発ものづくりにおける(株)アリスの役割です。