ChatGPTソラ先生と学ぶ!中級者のためのAI実践講座【第45回】ChatGPTで月次経営分析を行う方法|売上・利益・資金・受注状況を一つの経営資料へまとめる実践講座
こんにちは、ソラ先生です。
前回は、ChatGPTを使って売掛金・買掛金を整理し、請求から入金、仕入先や外注先への支払いまでを管理する方法を学びました。
今回は、これまで学んできた経営に関係する数字を、一つの資料へまとめてみましょう。
テーマは「月次経営分析」です。
皆さんは、こんな経験はありませんか?
「売上は増えているけれど、利益がどうなっているのか分からない」
「月末の数字は確認しているのに、次に何を改善すべきか見えてこない」
「受注は増えているのに、現場が忙しくなるばかりで利益が残らない」
「利益は出ているはずなのに、資金残高が減っている」
「毎月資料を作っているけれど、数字を報告するだけで終わってしまう」
経営では、売上高や利益を把握することが重要です。
しかし、売上だけを見ても、会社全体の状況を十分に理解できるとは限りません。
例えば、売上が増えていても、材料費や外注費がそれ以上に増えている場合があります。
また、利益が改善していても、お客様からの入金が遅れていれば、手元資金が不足する可能性があります。
さらに、今月の売上が好調でも、翌月以降の受注が減っている場合には、先の仕事について考える必要があります。
このように、経営の数字は、それぞれが関係しています。
ChatGPTは、複数の資料を整理し、前月や前年との違いを計算し、注目すべき変化や追加確認事項をまとめる手助けができます。
今回は、**「数字を集める → 月次の状況を整理する → 変化を比較する → 原因を調べる → 将来への影響を考える → 次の行動を決める」**という流れを学びましょう。
1.月次経営分析とは何でしょうか?
月次経営分析とは、毎月の経営実績を整理し、会社の状況や変化を把握するための分析です。
例えば、次のような情報を確認します。
売上高。
売上総利益。
営業利益。
製造原価。
受注金額。
受注残高。
売掛金。
買掛金。
現金・預金残高。
これらを前月や前年同月、予算などと比較することで、経営の変化を考えます。
ただし、すべての会社で同じ項目を使用する必要はありません。
製造業なら、設備の稼働状況や不良率が重要になる場合があります。
サービス業なら、契約件数や利用者数、解約率などが重要になるかもしれません。
大切なのは、自分たちの仕事にとって、何を確認する必要があるのかを考えることです。
月次経営分析の目的は、数字をたくさん並べることではありません。会社の現状を理解し、次に必要な行動を考えることです。
実践プロンプト①
「製造業の月次経営分析を行いたいです。売上高、売上総利益、営業利益、製造原価、受注残高、売掛金、買掛金、資金残高について、それぞれ何を確認できるのか整理してください。経営判断に必要な追加項目も考えてください」
2.売上・受注・入金は同じではない
まず、三つの数字の違いを理解しましょう。
売上高
製品の販売やサービスの提供などについて、会計上の基準に従って認識した金額です。
受注高
お客様から注文を受けた金額です。
入金額
実際に会社へ入ってきた現金・預金の金額です。
例えば、10月に300万円の注文を受けたとします。
製品の納品は11月。
代金の入金は12月だったとしましょう。
この場合、受注、売上、入金がそれぞれ別の月になる可能性があります。
そのため、月次経営分析では、これらを区別する必要があります。
例えば、今月の売上が多くても、翌月以降の受注が減っているかもしれません。
また、受注が増えていても、まだ納品していなければ、売上として計上されていない場合があります。
ChatGPTには次のように質問できます。
実践プロンプト②
「受注高、売上高、入金額の違いを説明してください。10月受注、11月納品、12月入金の製造案件を例に、月次経営資料でどのように区別するか整理してください」
3.実践例|ある製造会社の月次実績を分析する
ここからは、架空の製造会社を題材に考えてみましょう。
ある会社の9月と10月の経営実績を、次のように設定します。
| 項目 | 9月 | 10月 |
|---|---|---|
| 売上高 | 500万円 | 600万円 |
| 売上原価 | 350万円 | 450万円 |
| 売上総利益 | 150万円 | 150万円 |
| 販売費・一般管理費 | 100万円 | 110万円 |
| 営業利益 | 50万円 | 40万円 |
| 新規受注高 | 550万円 | 480万円 |
| 月末受注残高 | 700万円 | 580万円 |
| 月末現金・預金残高 | 300万円 | 250万円 |
※すべて学習用の架空データです。各項目は同じ会計・管理基準で比較するものとします。
まず、売上高を見てみましょう。
9月は500万円。
10月は600万円です。
100万円増えています。
増加率は、
100万円÷500万円×100=20%。
つまり、売上高は20%増加しました。
これだけを見ると、10月は好調だったように感じられるかもしれません。
しかし、ほかの数字も確認してみましょう。
4.売上が20%増えたのに、営業利益は減少した
10月の売上高は600万円で、9月より100万円増えています。
しかし、営業利益は50万円から40万円へ減少しています。
減少額は10万円です。
減少率は、
10万円÷50万円×100=20%。
つまり、営業利益は20%減少しています。
なぜ、このようなことが起きたのでしょうか。
まず、売上原価を確認します。
9月は350万円。
10月は450万円。
こちらも100万円増えています。
つまり、売上が100万円増えた一方で、売上原価も100万円増えたため、売上総利益は150万円のまま変わっていません。
さらに、販売費・一般管理費が100万円から110万円へ増えています。
その結果、営業利益が10万円減少しました。
このように、売上高だけでなく、原価と経費を合わせて見ることで、利益が減少した仕組みを理解できます。
ただし、売上原価が増えた具体的な理由は、まだ分かりません。
5.売上総利益率を計算する
売上総利益率は、売上高に対して売上総利益がどの程度あるかを表す割合です。
計算式は次のとおりです。
売上総利益率=売上総利益÷売上高×100
9月は、
150万円÷500万円×100=30%。
10月は、
150万円÷600万円×100=25%。
つまり、売上総利益率は30%から25%へ低下しました。
5ポイントの低下です。
<Chart content={{"chartType":"bar","meta":{"title":"売上総利益率と営業利益率の変化","description":"架空の月次経営データ。単位:%。"},"xKey":"month","series":[{"dataKey":"gross","label":"売上総利益率","valueSuffix":"%"},{"dataKey":"operating","label":"営業利益率","valueSuffix":"%"}],"yAxisMin":0,"data":[{"month":"9月","gross":30,"operating":10},{"month":"10月","gross":25,"operating":6.67}]}}/>
この結果から、10月は売上高が増加したものの、売上に対する利益の割合が低下したことが分かります。
では、なぜ売上総利益率が下がったのでしょうか。
ここから、さらに分析する必要があります。
6.原価が増えた理由を考える
売上総利益率が低下した原因として、いくつかの可能性が考えられます。
例えば、
材料価格が上昇した。
外注加工費が増えた。
加工時間が予定より長くなった。
不良や再製作が増えた。
利益率の低い案件の割合が増えた。
こうしたことです。
しかし、実際にどれが原因なのかは、原価資料を確認する必要があります。
例えば、材料費が増えていた場合でも、販売数量が増えたためなのか、材料単価が上昇したためなのかで意味が変わります。
また、製品構成が変わっていれば、売上原価率も変化する可能性があります。
そこで、原価を項目ごとに比較します。
実践プロンプト③
「売上高が500万円から600万円へ増加しましたが、売上総利益率は30%から25%へ低下しました。材料費、外注費、加工工数、不良損失、製品構成などの観点から、原因を調べるために必要なデータを整理してください。確認できていない原因を断定しないでください」
7.売上高の増減を、数量と単価に分ける
売上高が増減した理由を調べるとき、販売数量と販売単価を分けて考える方法があります。
例えば、ある製品について、
9月は100個販売し、一個あたり5,000円だったとします。
売上高は50万円です。
10月は120個販売し、一個あたり4,800円だったとします。
売上高は57万6,000円です。
売上は7万6,000円増えています。
しかし、一個あたりの販売単価は下がっています。
つまり、数量増加によって売上が増えた一方で、単価は低下しています。
このように、売上高だけでは分からないことがあります。
ただし、多品種少量生産では、製品ごとに仕様や数量、価格が異なる場合があります。
そのため、同じ製品や比較可能な案件へ分けて分析する必要があります。
実践プロンプト④
「売上高の増減を、販売数量と販売単価の変化に分けて分析したいです。製品別に数量、単価、売上高を比較する表を考えてください。仕様の異なる製品を単純に同じ単価として比較しない方法も整理してください」
8.受注高と受注残高を確認する
次に、受注状況を見てみましょう。
今回の架空データでは、次のようになっています。
| 項目 | 9月 | 10月 |
|---|---|---|
| 新規受注高 | 550万円 | 480万円 |
| 月末受注残高 | 700万円 | 580万円 |
10月の売上高は増えています。
しかし、新規受注高は550万円から480万円へ減少しています。
差額は70万円です。
また、月末受注残高は700万円から580万円へ減少しています。
差額は120万円です。
ここから何が考えられるでしょうか。
10月は、過去に受注していた仕事の納品が進んだ一方、新規受注が少なかった可能性があります。
ただし、受注残高の変化を正確に理解するには、受注高、売上への振替、キャンセル、受注金額の変更などを確認する必要があります。
例えば、
前月末受注残高+新規受注高-当月売上振替±受注変更額
という形で、受注残高の増減を照合する方法があります。
ただし、売上高のすべてが受注残高から振り替えられる取引とは限らないため、管理方法に合わせた調整が必要です。
実践プロンプト⑤
「新規受注高が550万円から480万円へ減少し、月末受注残高も700万円から580万円へ減少しました。受注残高の増減を、前月残高、新規受注、売上への振替、受注変更、キャンセルに分けて確認する方法を整理してください」
9.今月の売上が良くても、来月以降は分からない
今回の事例では、10月の売上高は600万円です。
前月より増えています。
しかし、受注残高は減っています。
この場合、来月以降の仕事量について確認する必要があります。
例えば、受注残高580万円の納期は、すべて来月なのでしょうか。
あるいは、数か月先まで分散しているのでしょうか。
また、受注している案件の利益率や、必要な設備負荷はどうなっているのでしょうか。
こうした条件によって、先の見通しは変わります。
例えば、受注残高が多くても、特定の設備へ仕事が集中していれば、予定どおりに製作できない可能性があります。
一方、受注残高が少なくても、短納期の仕事を継続的に受けている会社では、状況が異なる場合があります。
そのため、受注残高の金額だけでなく、納期、利益、設備負荷なども確認する必要があります。
10.資金残高が減少した理由を考える
次に、現金・預金残高を見てみましょう。
9月末は300万円。
10月末は250万円です。
50万円減少しています。
しかし、10月は営業利益が40万円ありました。
なぜ、利益が出ているのに現金が減っているのでしょうか。
例えば、売掛金が増えた可能性があります。
材料を多く購入し、在庫が増えているかもしれません。
借入元本の返済があった可能性もあります。
また、設備の購入代金を支払った場合も考えられます。
こうした現金の増減は、損益計算書だけでは説明できない場合があります。
そこで、売掛金、棚卸資産、買掛金、設備投資、借入などの情報を確認します。
実践プロンプト⑥
「10月の営業利益は40万円でしたが、現金・預金残高は300万円から250万円へ減少しました。売掛金、在庫、買掛金、設備投資、借入返済などの観点から、現金減少の理由を調べるための資料と確認項目を整理してください」
利益の増減と、現金残高の増減を別々に確認することが重要です。
11.売掛金と入金予定を月次資料へ加える
月次経営資料では、売掛金の残高と入金予定も役立つ情報です。
例えば、売掛金残高が前月より増加していたとします。
これは、売上が増えた影響かもしれません。
一方、お客様からの入金が予定より遅れている可能性もあります。
そこで、売掛金の内訳を確認します。
取引先別の売掛金。
入金予定日。
支払期日を過ぎた金額。
請求金額と入金済額。
こうした情報です。
また、売掛金だけでなく、買掛金や外注費などの支払予定も確認します。
例えば、来月に大きな材料代の支払いが集中している場合です。
その情報があれば、今月末の資金残高だけでなく、来月の資金繰りについても考えられます。
ChatGPTには次のように相談できます。
実践プロンプト⑦
「月次経営資料へ売掛金、未回収額、入金予定、買掛金、支払予定を追加したいです。経営状況を把握するために必要な項目を整理し、資金繰り予測へつなげる方法を考えてください」
12.前月比較と前年同月比較では、何が違う?
月次経営分析では、前月と比較する方法があります。
例えば、10月の売上高を9月と比較します。
これによって、直近の変化を確認できます。
一方、前年同月と比較する方法もあります。
例えば、2026年10月と2025年10月を比較します。
こちらは、前年の同じ時期からどう変化したか確認する方法です。
例えば、季節によって受注が変わる業界では、前月との比較だけでは判断しにくい場合があります。
一方、前年同月比較でも、取引先や製品構成が大きく変わっていれば、単純な比較は難しくなります。
そこで、前月比較、前年同月比較、予算比較などを組み合わせる方法があります。
ただし、すべての比較を一度に行う必要はありません。
何を判断したいのかに合わせて、適切な比較を選ぶことが重要です。
実践プロンプト⑧
「月次経営分析について、前月比較、前年同月比較、予算比較の違いを説明してください。季節性、製品構成、取引先の変化などを考慮し、どの比較が適しているか検討する方法を整理してください」
13.予算と実績の差を分析する
例えば、10月の売上目標が650万円だったとします。
実際の売上高は600万円でした。
差額はマイナス50万円です。
達成率は、
600万円÷650万円×100≒92.3%。
となります。
しかし、売上目標を達成できなかったという結果だけで、問題の原因は分かりません。
例えば、予定していた案件の納品が翌月へ変更されたのかもしれません。
あるいは、新規受注が予定より少なかった可能性があります。
また、予算自体の設定が実態に合っていなかった場合も考えられます。
そこで、予算と実績を比較し、その違いを調べます。
例えば、
売上高。
売上総利益。
販売費・一般管理費。
営業利益。
受注高。
こうした項目です。
実践プロンプト⑨
「10月の売上予算650万円、実績600万円です。予算差額と達成率を計算し、未達の理由を調べるために、納品時期、受注状況、単価、数量、予算設定などの確認項目を整理してください」
14.数字が変化した理由を、勝手に決めない
月次経営分析では、数字の変化を説明する必要があります。
例えば、売上総利益率が30%から25%へ低下したとします。
ここで、
「材料費が上がったためです」
と説明したくなるかもしれません。
しかし、材料費の記録を確認していなければ、それは仮説です。
実際には、加工工数の増加や、利益率の低い案件の割合が増えたことが影響している可能性もあります。
そのため、分析資料では、次の三つを区別することが役立ちます。
確認できた事実
売上総利益率が30%から25%へ低下した。
考えられる原因
材料費上昇や製品構成の変化など。
追加確認事項
材料費、加工時間、外注費、案件別の採算など。
ChatGPTには次のように依頼できます。
実践プロンプト⑩
「月次経営分析について、確認できた事実、原因の仮説、未確認事項を分けて整理してください。数字の変化だけから因果関係を断定せず、原因確認に必要な資料を示してください」
15.月次経営資料は、どのくらいの情報量がよい?
月次経営分析では、多くの情報を集めることができます。
売上。
利益。
原価。
受注。
資金。
品質。
設備。
人員。
しかし、すべての数字を一つの資料へ詰め込むと、重要な変化が見えにくくなる場合があります。
そこで、資料を二つの階層に分ける方法があります。
最初のページ
経営全体の状況と、重要な変化をまとめる。
詳細資料
売上、原価、受注、資金など、必要に応じて詳しい数字を確認できるようにする。
例えば、最初のページには次の内容を配置できます。
主要な経営指標。
前月との変化。
注目すべき問題。
確認が必要なこと。
次の行動。
このようにすれば、全体像を把握した後、必要な項目を詳しく調べられます。
16.経営ダッシュボードを考える
経営ダッシュボードとは、重要な指標を一つの画面や資料で確認できるように整理したものです。
例えば、今回の会社なら、次のような構成が考えられます。
<box border radius="xl" padding={3} gap={3}>
<row justify="between" align="center">
<box gap={1}>
<text color="secondary" weight="medium" size="xs">月次経営ダッシュボード(学習用)</text>
<title size="lg">10月の経営状況</title>
</box>
<badge color="secondary">架空データ</badge>
</row>
<grid columns={2} gap={2}>
{#each [{label:"売上高",value:"600万円",note:"前月比 +20.0%"},{label:"営業利益",value:"40万円",note:"前月比 -20.0%"},{label:"月末受注残高",value:"580万円",note:"前月比 -120万円"},{label:"月末現金・預金",value:"250万円",note:"前月比 -50万円"}] as item}
<grid-item>
<box background="surface-secondary" radius="lg" padding={3} gap={1}>
<caption>{item.label}</caption>
<title size="lg" tabularNums>{item.value}</title>
<text size="xs" color="secondary">{item.note}</text>
</box>
</grid-item>
{/each}
</grid>
<divider color="subtle"/>
<text weight="medium" size="sm">今月の注目点</text>
<text size="sm">売上高は増加した一方、売上総利益率と営業利益が低下。受注残高と現金・預金残高も減少しているため、原価構成と今後の入出金予定を確認する。</text>
</box>
このように、数字と注目点を組み合わせることで、経営の全体像を理解しやすくなります。
ただし、ダッシュボードをきれいに作ること自体が目的ではありません。
重要なのは、数字を確認して、何を考え、どう行動するかです。
実践プロンプト⑪
「月次経営ダッシュボードを作成したいです。売上高、売上総利益率、営業利益、受注高、受注残高、現金・預金残高を中心に、前月との差と注目点が分かる構成を考えてください。最初のページで経営全体を把握し、詳細資料へ進める構成にしてください」
17.月次経営資料に、品質と生産性を加える
製造業の月次経営分析では、金額だけでなく、品質や生産性も重要になる場合があります。
例えば、売上総利益率が低下していたとします。
その背景に、不良や再製作の増加があるかもしれません。
また、設備の段取り時間が増えて、加工できる数量が減っている可能性もあります。
そこで、必要に応じて次のような情報を追加します。
不良率。
再製作・手直し費用。
設備停止時間。
加工時間。
納期遅延件数。
外注費。
ただし、これらを一度に大量に表示すると、資料が複雑になる場合があります。
経営上の重要な変化に関連する項目を選んで分析することが大切です。
例えば、利益率が低下した月には、原価と品質、生産性のデータを詳しく確認する方法があります。
18.数字が良くても、仕事の実態が悪くなる場合
ここで、もう一つ考えてみましょう。
例えば、今月の営業利益が増加したとします。
しかし、その理由が設備保守の延期による経費減少だった場合です。
短期的には利益が増えるかもしれません。
しかし、必要な保守を先延ばしにした結果、将来の設備故障リスクが高まる可能性があります。
また、人員を減らしたことで短期的な人件費が減少しても、残った人の負担が大きくなっている場合もあります。
このように、数字が良くなった理由を確認する必要があります。
一時的な改善なのか。
継続できる改善なのか。
将来の問題を先送りしていないか。
こうした視点が重要です。
ChatGPTには次のように相談できます。
実践プロンプト⑫
「営業利益が増加しました。しかし、設備保守費の減少や人員配置の変更が影響している可能性があります。短期的な利益改善と、継続的な経営改善を区別するために、確認すべき項目を整理してください」
19.月次経営分析から、具体的な行動を決める
月次経営資料が完成したら、次に何をするべきでしょうか。
今回の架空データでは、次のような変化が確認できました。
売上高は20%増加。
売上総利益率は30%から25%へ低下。
営業利益は50万円から40万円へ減少。
新規受注高は減少。
受注残高も減少。
現金・預金残高も減少。
これらの数字から、確認すべきことが見えてきます。
例えば、
原価について
売上総利益率が低下した理由を調べる。
受注について
受注残高の納期別内訳と、新規受注の見通しを確認する。
資金について
売掛金の入金予定と、今後の支払予定を整理する。
このように、数字を次の確認作業へつなげることができます。
ただし、この段階で改善方法を決めつける必要はありません。
まず、必要な事実を確認することが重要です。
20.行動計画を作る
確認すべきことが分かったら、実際の行動計画へまとめます。
例えば、次のような表です。
| 課題 | 次の行動 | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 売上総利益率の低下 | 原価の増減要因を調査 | 案件別原価・製品構成 |
| 受注残高の減少 | 納期別受注残高と新規案件を確認 | 受注管理表 |
| 資金残高の減少 | 入出金の実績と予定を照合 | 銀行明細・資金繰り表 |
| 翌月の経営見通し | 売上・利益・資金の予測を更新 | 受注・原価・入出金資料 |
この表には、実際の運用時に担当者や期限も追加するとよいでしょう。
ただし、すべての問題へ同時に取り組む必要はありません。
影響が大きいものや、早めに確認する必要があるものから進める方法が考えられます。
実践プロンプト⑬
「月次経営分析から見つかった課題について、確認する資料、次の行動、担当する役割、期限、完了条件を整理した行動計画を作成してください。原因が未確認のものは、すぐに改善策を確定せず、先に必要な調査を設定してください」
21.経営分析は、会議を開けば完成する?
月次経営分析では、会議で数字を確認する場合があります。
しかし、数字を報告して終わるだけでは、仕事が改善しない可能性があります。
例えば、
「売上高は600万円でした」
「営業利益は40万円でした」
「受注残高は580万円でした」
と報告したとします。
もちろん、数字の共有には意味があります。
しかし、そこで終わるのではなく、次のようなことを考える必要があります。
なぜ変化したのか。
どの数字が重要なのか。
確認できていない情報は何か。
次に誰が何を調べるのか。
いつ結果を確認するのか。
こうしたことです。
また、前月の会議で決めた行動が実施されたか確認することも重要です。
改善活動を継続するためには、数字の報告と行動の確認を結びつける必要があります。
22.ChatGPTで月次経営レポートを作成する
ここまでの内容を、一つのレポートにまとめてみましょう。
例えば、次のような構成が考えられます。
① 今月の概要
売上、利益、受注、資金の主な状況。
② 主要指標の比較
前月、前年同月、予算などとの比較。
③ 注目すべき変化
利益率の低下、受注残高の変化、資金の増減など。
④ 変化の原因分析
確認できた事実と、調査が必要な仮説。
⑤ 来月以降の見通し
受注残高、売上予定、入金・支払い予定。
⑥ 次の行動
調査、改善、確認の具体的な計画。
このように整理すれば、数字の一覧表ではなく、判断に使える資料へ近づけられます。
実践プロンプト⑭
「次の月次経営データをもとに、経営レポートを作成してください。売上、売上総利益、営業利益、受注高、受注残高、資金残高について前月比較を行い、確認できた事実、原因の仮説、未確認事項、来月の確認項目、行動計画を分けて整理してください」
ただし、実際に提出する前に、元データとの照合が必要です。
23.実績が確定していない場合はどうする?
月次経営分析では、月末になっても、すべての数字が確定していない場合があります。
例えば、外注費の請求書がまだ届いていない場合です。
また、棚卸や原価配賦が完了していない可能性もあります。
この段階で計算した利益は、確定値ではない場合があります。
そこで、数字の状態を区別する方法があります。
確定実績
必要な処理が完了し、確認された数値。
暫定実績
一部の費用や処理が未確定の数値。
予測
将来の受注や売上、費用について、一定の条件から見積もった数値。
例えば、営業利益について暫定値を使用する場合には、その理由を明確にしておきます。
こうすることで、数字が後から変わった際にも理解しやすくなります。
実践プロンプト⑮
「月次経営レポートで、売上高は確定していますが、外注費と製造間接費の一部が未確定です。確定実績、暫定実績、予測を区別し、数字の確認状況が分かる資料の構成を考えてください」
24.今日の実践課題|月次経営レポートを作ろう
今回は、ChatGPTを使って、架空の製造会社の月次経営資料を作成する練習をしましょう。
ステップ① 経営データを整理する
ChatGPTへ次のように入力します。
「9月の売上高500万円、売上原価350万円、販売費・一般管理費100万円、営業利益50万円。10月は売上高600万円、売上原価450万円、販売費・一般管理費110万円、営業利益40万円です」
ステップ② 前月比較を行う
「売上高、売上原価、売上総利益、営業利益について、前月との差額と増減率を計算してください」
ステップ③ 利益率を計算する
「9月と10月の売上総利益率、営業利益率を計算し、変化を整理してください」
ステップ④ 原価増加の要因を考える
「売上総利益率が30%から25%へ低下しました。原因を決めつけず、確認すべき原価項目と資料を整理してください」
ステップ⑤ 受注状況を確認する
「新規受注高が550万円から480万円、月末受注残高が700万円から580万円へ変化しました。増減を計算し、次月以降の見通しを確認する項目を考えてください」
ステップ⑥ 資金の変化を確認する
「現金・預金残高が300万円から250万円へ減少しました。営業利益との違いを整理し、現金の増減を説明するために必要な資料を考えてください」
ステップ⑦ ダッシュボードを考える
「売上高、売上総利益率、営業利益、受注残高、資金残高について、今月の状況が分かるダッシュボードの構成を考えてください」
ステップ⑧ 重要な確認事項を選ぶ
「今回の経営データから、優先して確認するべき項目を整理してください。数字の変化と原因の仮説を区別してください」
ステップ⑨ 行動計画を作成する
「確認事項ごとに、必要な資料、担当する役割、期限、完了条件を整理してください」
ステップ⑩ 月次経営レポートにまとめる
「今月の経営概要、主要指標の比較、注目点、未確認事項、来月の見通し、行動計画を含む月次経営レポートを作成してください」
この練習では、経営状態が良いか悪いかを単純に決めることが目的ではありません。
数字の変化を理解し、その背景を確認し、次の行動へつなげることが目的です。
25.ChatGPTで月次経営分析を行うときの注意点
ChatGPTは、経営データの集計、利益率の計算、前月比較、グラフ作成、経営レポートの作成などを支援できます。
しかし、実際の会社の売上や利益、資金状況を、資料なしで把握することはできません。
また、数字の変化から原因を自動的に確定することもできません。
例えば、売上総利益率が低下した場合です。
材料費が上昇した可能性はありますが、実際の原価資料を確認しなければ、原因だと判断できません。
また、会計資料には暫定値が含まれている場合もあります。
そのため、確定している数字と未確定の数字を区別する必要があります。
さらに、経営情報には取引先や会社の重要な情報が含まれることがあります。
AIを使用する場合には、必要な範囲の情報を適切に管理することが重要です。
AIが作成した経営分析は、判断を支援する資料です。
実際の経営判断は、確認された情報と会社の状況をもとに行う必要があります。
26.月次経営分析の本当の目的は何でしょうか?
最後に、月次経営分析について考えてみましょう。
毎月、売上や利益の数字を確認することは重要です。
しかし、数字を見ただけで仕事が改善するわけではありません。
例えば、営業利益が減少したとします。
その理由を調べることで、原価の問題が見つかるかもしれません。
また、受注残高が減少していれば、翌月以降の仕事の進め方を考える必要があるかもしれません。
資金残高が減少していれば、今後の入金や支払いを確認する必要があります。
こうした変化を早めに見つけることで、必要な行動を検討できます。
また、実際に改善策を実施した後は、その結果を次の月次経営分析で確認することが重要です。
例えば、段取り時間を短縮する改善を行った場合です。
本当に加工工数が減ったのか。
原価へどのような影響があったのか。
利益率は改善したのか。
こうしたことを確認します。
月次経営分析は、過去の数字を評価するだけではありません。
次の仕事へつなげるためのものです。
まとめ|経営の数字を、次の行動へつなげる
今回は、ChatGPTを使って月次経営分析を行う方法を学びました。
重要なポイントは、次のとおりです。
- 月次経営分析の目的を明確にする。
- 売上高、受注高、入金額を区別する。
- 売上だけでなく、売上原価や営業利益も確認する。
- 売上総利益率や営業利益率を計算する。
- 前月、前年同月、予算などと比較する。
- 数字の変化と、その原因の仮説を区別する。
- 受注高と受注残高から、先の仕事を考える。
- 利益と現金・預金残高の変化を別々に確認する。
- 必要に応じて品質や生産性のデータも組み合わせる。
- 月次経営レポートを作成し、次の具体的な行動へつなげる。
- 確定実績、暫定実績、予測を区別する。
- 前月の行動結果を確認し、改善を継続する。
会社の経営では、さまざまな数字が使われます。
売上高。
製造原価。
利益。
受注残高。
売掛金。
資金残高。
これらは、それぞれ異なる意味を持っています。
一つの数字だけで判断するのではなく、互いの関係を考えることが重要です。
例えば、売上高が増えていても、利益率が低下しているかもしれません。
営業利益が改善していても、入金が遅れて資金残高が減少している場合もあります。
また、今月の売上が良くても、来月以降の受注が減っている可能性があります。
こうした変化を整理することで、次に確認するべき問題が見えてきます。
ChatGPTは、数字の集計や比較、グラフ作成、報告書の構成、確認事項の整理を手伝うことができます。
しかし、実際の経営資料を確認し、数字の背景にある仕事の状況を理解することが必要です。
月次経営分析で大切なのは、数字をきれいにまとめることではありません。会社の状況を正確に理解し、次に何を調べ、何を改善し、何を継続するのか考えることです。
AIと一緒に数字を整理し、変化を見つけ、必要な情報を確認する。
そして、実際の行動へつなげ、その結果を次の月に検証する。
その積み重ねが、中級編で身につけていきたい実践的なAI活用です。
次回【中級編・第46回】
「ChatGPTで経営の先行指標を設計する方法|売上が変わる前に兆候をつかむ実践講座」
次回は、月次の売上や利益などの実績だけでなく、その前に変化する可能性がある指標について考えます。
問い合わせ件数。
見積依頼数。
見積提出件数。
受注率。
受注までの期間。
受注残高。
こうした情報を整理し、将来の売上や仕事量の変化へ早めに気づくための方法をChatGPTと一緒に学んでいきましょう。