技術は、次の仕事に活かしてこそ意味がある
ものづくりの現場では、毎日の仕事を通してさまざまな経験が積み重なっていきます。
加工が難しかった形状。初めて使用した材料。思うように寸法が出なかった部品。製作方法を変更することで、うまく進められた仕事。
そうした経験は、次の仕事を進めるための大切な知識になります。
しかし、経験した本人だけが知っている状態では、その知識を十分に活かせない場合があります。
例えば、樹脂部品の切削加工では、材質や形状によって加工時の注意点が異なります。
工具の選び方、切削条件、材料の固定方法、加工する順番など、検討することはいくつもあります。
以前に似た部品を製作した経験があれば、そのときの加工方法や注意点が参考になるでしょう。
ただし、前回と同じ条件が今回も適しているとは限りません。
どのような条件で加工したのか。どんな問題が起きたのか。なぜその方法を選んだのか。
結果だけでなく、判断した理由まで分かることが大切です。
これは金属加工や治具製作、設備部品の製作でも同じです。
単に加工条件の数値を残すだけでは、別の仕事に応用できないことがあります。
材料や使用目的、必要な精度、設備の状態など、判断の前提となる情報があって初めて、過去の経験を参考にできます。
また、技術を伝える相手が、必ずしも製造担当者とは限りません。
見積りを担当する人が加工方法を理解すれば、必要な工程やコストを考えやすくなります。
営業事務が図面番号や材料の違いを理解すれば、注文内容の確認や製造担当者への情報伝達にも役立ちます。
それぞれが専門技術をすべて身につける必要はありません。
自分の仕事に必要な知識を少しずつ増やしていくことが、会社全体の仕事を進めやすくします。
(株)アリスでは、自社加工と国内協力会社の技術を組み合わせながら、研究開発から生産現場までのさまざまなものづくりに関わっています。
一つの案件で得られた経験が、別の材料や製作方法を検討するときに役立つこともあります。
技術は、知っていることだけではありません。
実際に試し、失敗し、考え、次の仕事で使えるようになった知識も、大切な技術の一部です。
経験したことを自分だけのものにせず、必要な人に伝え、仕事の中で活かしていく。
そうした積み重ねが、会社として対応できる仕事の幅を広げていくと考えています。