同じ言葉でも、同じ意味とは限らない
ものづくりの仕事では、毎日のように専門用語が使われます。
「仕上げをお願いします」「精度を出してください」「きれいに加工してください」。
普段から使い慣れている言葉でも、その意味が相手に正確に伝わっているとは限りません。
例えば、「きれいな仕上がり」という言葉があります。
ある人は、傷がなく見た目が整っている状態を想像するかもしれません。
別の人は、工具の加工跡が少なく、表面が滑らかな状態を考えるかもしれません。
使用する場所や製品の目的によって、求められる仕上がりも異なります。
単に「きれいにしてください」と伝えるだけでは、必要な品質を正確に共有できない場合があります。
樹脂加工や金属加工では、図面に表面粗さや寸法公差が指定されていることもあります。
その場合は、指定された数値や条件を基準に判断できます。
しかし、すべての要求が図面に明確に記載されているとは限りません。
外観が重要なのか。摺動する部分なのか。組み立てた後には見えなくなる部分なのか。
必要に応じて用途や使用条件を確認することで、求められる品質を具体的に理解できます。
「急ぎ」という言葉も同じです。
今日中に必要なのか、明日までなのか、それとも通常より少し早い納期を希望しているのか。
受け取る人によって解釈が違えば、予定の立て方も変わってしまいます。
だからこそ、曖昧な表現を具体的な条件に置き換えることが大切です。
これは、お客様との打ち合わせだけでなく、社内や協力会社とのやり取りにも当てはまります。
同じ言葉を使っていても、相手が理解している内容は違うかもしれません。
経験豊富な人同士でも、所属する会社や扱ってきた製品が違えば、言葉の使い方が異なることがあります。
(株)アリスは、自社加工と国内協力会社の技術を組み合わせ、樹脂、金属、ゴムなどのさまざまな製作案件に関わっています。
材料も工法も用途も異なるからこそ、言葉だけで分かったつもりにならないことが重要です。
相手が何を求めているのかを確認する。
自分たちが理解した内容を具体的に伝える。
必要であれば、図面、写真、サンプル、数値などを使って認識を合わせる。
こうした確認には時間がかかることもあります。
しかし、製作が進んでから認識の違いに気づけば、手戻りや作り直しにつながる可能性があります。
同じ言葉を使うことよりも、同じ内容を理解すること。
それが、品質や納期を守り、お客様の目的に合ったものづくりを進めるための大切な基本だと考えています。