初心に戻って
ある日、突然の来客がありました。
ホームページからのお問い合わせによる新規のお客様。
ここまでは、特別なことではありません。
東大阪の会社様で、名刺には「取締役 技術部長」と書かれていました。
打ち合わせが終わってから、雑談の中でこれまでの歩みを伺いました。
年齢は私より23歳も上。
本当は取締役社長だということも、そのとき初めて知りました。
創業の経緯、事業内容、そして経営に対する考え方。その一つひとつが、
胸に刺さりました。
率先して掃除をすること。
役員報酬は取りすぎないこと。
休みよりも仕事を優先すること。
社員の倍は働くこと。
自分が嫌な仕事を、できるだけ自分がやること。
現役として仕事を持ち、最後まで自分で責任を取ること。
どれも「正しい」と頭では分かっていることです。
私自身も、そうありたいと考え、実際にやってきたつもりでした。
しかし、話を聞くほどに、自分がどれほど自分に甘かったかを
思い知らされました。
比較することすらおこがましい。レベルが違いました。
肩書を「技術部長」にしているのも、社長と名乗ると本音で
話せなくなるからだと言われました。
相手の事を優先して考える。
素晴らしい事です。
そういった哲学を持っていても、それを続けることの難しさを
いつも痛感します。
無借金経営を貫いていること、
8月は1か月間休み、その間に肩書を隠してアルバイトをすること。
現場で働くことで、社員の気持ちを理解し、経営に活かす。
そのすべてが、私自身が「いつかやりたい」と思いながら、
実行できていなかったことでした。
同じ理想を本気で追い、しかもすべて実現している人がいる。
その事実に打ちのめされると同時に、不思議と喜びも感じました。
理想は、夢物語ではないのだと。
もう一度、自分の至らなさを正面から認め、初心に戻る。
理想を語るだけでなく、理想を生きる。
この日から、かなり変わって来た自分を感じます。
ですが、まだまだ未熟です。
さらなる理想の追求をしていきたいと思います。
後日談があって、嘘だらけで、真逆の人でした。
それを知った時には、とてもがっかりしました。
それも反面教師です。
口先だけで他人に言うべきことではなく、自分に課題を課して黙って
自分の事として理想を追いかける。
今ではそうあるべきだと考えています。