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ポリプロピレン(PP)とは?特徴・用途・加工で失敗しないコツ

2025.11.14 チップス
ポリプロピレン(PP)とは?特徴・用途・加工で失敗しないコツ

化学装置や食品装置の材料選定では、「薬品に負けない」「軽い」「コストが読める」がまず重要です。一方で、試作現場では「バリが止まらない」「固定したら反った」「ねじが緩む」といった“樹脂ならでは”の落とし穴が起きがち。ポリプロピレン(PP)は、そのバランスが良い反面、癖もはっきりした材料です。

PPを一言で説明できるレベルまで噛み砕き、装置設計・試作・購買それぞれが「最初に押さえるべきポイント」を整理します。

ポリプロピレン(PP)とは

PPはプロピレンを原料にした熱可塑性樹脂(加熱で軟らかくなり、冷えると固まる樹脂)で、分類としてはポリエチレン(PE)と同じ“ポリオレフィン系”です。身近な容器・包装材でもおなじみですが、装置部品でも定番として使われます。

PPは結晶性が高いタイプの樹脂で、硬さ・耐薬品性・疲労特性などが“実務向き”にまとまりやすい一方、温度で性格が変わりやすく、固定方法や寸法設計が雑だとトラブルが表面化します。

PPにも種類がある(ここだけ先に押さえる)

同じ「PP」でも、一般にホモポリマー(剛性寄り)やコポリマー(耐衝撃寄り)などに分かれ、透明性や衝撃性、低温特性が変わります。装置用途では“どのグレードのPPか”まで指定できると、後からの材質変更やクレームを減らせます(グレード選定は後半で詳しく解説します)。

装置部品でPPが選ばれる理由

  • 比重が小さく軽量(扱いやすく、慣性が小さくなる)
  • 水に強く、吸水による寸法変化が小さい
  • 酸・アルカリなどに強いケースが多い(耐薬品材の入口として使いやすい)
  • 材料価格が比較的安定しやすく、量産材として調達しやすい

「まずPPで当たりをつけ、要求が厳しい箇所だけ上位材へ」という考え方が成立しやすいのが強みです。

PPの代表的な特徴(メリット)

PPのメリットは“派手さ”より“現場で効く堅実さ”にあります。

1) 軽量で取り回しが良い

同じサイズでも金属より大幅に軽く、装置のカバー、ダクト、ガイド、タンク周りの部品などで作業性が上がります。搬送機構では軽量化がそのまま駆動負荷低減につながることもあります。

2) 耐薬品性に強みがある

酸・アルカリ・塩類水溶液などで使える例が多く、洗浄工程がある食品装置でも候補に入りやすい材料です。ただし「すべての薬品に万能」ではありません(相性の悪い溶剤や高温条件があります)。相性確認の考え方は後半で詳しく扱います。

3) 水・湿気の影響を受けにくい

吸水が少ないため、ナイロン系のように水分で寸法が動きやすい材料と比べ、寸法安定の面で有利です。食品装置の水回りや、薬液が飛散する周辺でも扱いやすい理由の一つです。

4) 繰り返しの曲げに比較的強い

ヒンジのように“しなる”用途で使われることがあるのは、疲労に強い特性があるためです。装置部品でも、しなりを許容して衝撃を逃がす設計に向く場面があります。

得意なこと(採用理由)苦手になりやすいこと(先に対策)
軽量で扱いやすい熱で伸びやすい・反りやすい(線膨張が大きい)
酸・アルカリに強い例が多い溶剤系・高温条件は要注意(相性確認が必須)
吸水が少なく寸法が比較的安定長期荷重でたわむ(クリープ)
量産材として調達しやすい表面エネルギーが低く接着しにくい

PPの弱点と「設計で先に潰す」注意点

PPは“材料単体の強度”よりも、“温度・時間・固定方法”でトラブルが出ます。装置設計の早い段階で、下記を織り込むだけで失敗率が大きく下がります。

温度が上がると、急に別物になる

PPは融点が約160〜170℃付近ですが、問題はそこに到達する前です。荷重がかかった状態で温度が上がると、たわみやすくなり、寸法も動きます。連続使用温度の目安は条件で変わるため、採用前に「温度」「荷重」「支持スパン」をセットで評価するのが安全です。食品工程で熱水洗浄がある場合は、洗浄温度と“洗浄中の固定状態(締結したままか/外すのか)”まで含めて考えると事故が減ります。

クリープ(時間とともに変形)を前提にする

ボルト締結、片持ち支持、シール面の押さえなど、一定荷重が長くかかると、最初は良くても徐々にへたります。対策はシンプルで、(1)荷重を面で受ける、(2)座金や当て板で局所応力を下げる、(3)肉厚を増やす・リブで剛性を上げる、(4)荷重を金属側に逃がす、の順に効きます。購買目線では「安いからPP」で決める前に、長期荷重の有無だけは必ず確認したいポイントです。

熱膨張が大きい=公差設計は“逃げ”が要る

PPは金属に比べて温度で伸び縮みしやすい材料です。装置のフレームが金属、部品がPPという組み合わせでは、温度変化でクリアランスが変わります。組付けをきつくし過ぎると、常温では良くても温度が上がったとたん干渉し、反り・割れ・摺動不良につながります。スロット穴、片側基準+片側逃げ、位置決めピンの使い分けなど“拘束のさせ方”が重要です。

接着が難しい=固定方法の設計が重要

PPは表面が“濡れにくい”ため、一般的な接着剤では強度が安定しません。装置部品では、ねじ+座面設計、インサート、溶着(熱板・超音波など)、スナップ、キー溝など「形で止める」発想が基本になります。試作段階から固定方法を決めておくと、後工程の手戻りが減ります。

帯電・粉体付着が問題になることがある

PPは電気を逃がしにくく、粉体やフィルム片が付着しやすい場合があります。粉体搬送や計量まわりでは、帯電防止グレードの検討、接地(アース)設計、清掃性の確保が有効です。設計者が「材料だけ」で解決しようとせず、周辺の風・湿度・清掃フローも含めて考えると現実的です。

用途例(化学/食品装置でよく見るPP部品)

  • 薬液・洗浄水が触れるカバー、受け皿、飛散防止板
  • タンク周辺の治具、スペーサー、ガイド、軽荷重のローラー部
  • 配管周りの支持部品、保護部品(※温度と荷重条件の確認が前提)
  • 食品工程の搬送補助部品(※衛生要件はグレード・証明書の確認が前提)

ポイントは「高温」「長期荷重」「溶剤」の3つが絡むと難易度が上がること。逆に言えば、それ以外の領域では“軽量で、薬品にも強く、コストも抑えやすい”というPPの良さが活きます。

まず最初に見るべきチェック項目(設計・試作・購買)

PP採用の判断を速く、正確にするには「見る順番」を固定するのがコツです。

立場まず確認すること判断が早くなる理由
装置設計(化学/食品)使用温度(通常/洗浄)と荷重の有無、薬品名と濃度PPの弱点が出る条件を先に潰せる
試作担当固定方法(締結/当て方)、加工熱、バリ対策の段取り反り・寸法ブレ・仕上がり不良が減る
購買グレード指定の有無、証明書の要否、ロット/供給性“安いが使えない”を防げる

耐薬品性の考え方(「PPなら安心」の落とし穴)

PPは耐薬品性が高いと言われますが、現場では「同じ薬品でも条件が違うと一気にダメになる」ことがあります。判断の軸は次の3つです。

  • 温度:常温で問題なくても、温度が上がると膨潤や劣化が進みやすい
  • 濃度:希釈液は平気でも、原液・高濃度で攻撃性が上がる
  • 応力:ボルト締結や曲げ応力があると、割れ(応力割れ)や白化が出やすい

つまり「材質=合格」ではなく、「薬品×温度×濃度×応力×時間」で決まります。まずは使用条件を一枚のメモにまとめ、それを基に相性表(耐薬品表)で当たりをつけ、最後に簡易試験で確認するのが安全です。

耐薬品性の確認手順(装置設計・購買で共通)

設計・購買・試作が別々に動くと、薬品条件が抜け落ちて手戻りになりがちです。次の順で“条件を固定”すると判断が速くなります。

  • 薬品名(商品名ではなく成分名)/濃度/温度(通常・洗浄・異常時)/接触時間(常時・間欠・飛散)を揃える
  • 相性表で一次判断(「○」でも温度上限や応力条件の注記を読む)
  • 応力がかかる形状は要注意(締結部、曲げ、角部、薄肉)
  • 実液で簡易試験:小片を浸漬し、重量変化、寸法変化、表面の白化・割れを確認
  • 迷ったら上位材の候補も同時に試験し、比較で決める

PPが得意な領域/注意が必要な領域(傾向)

PPは酸・アルカリ・塩類水溶液などで採用されることが多い一方、溶剤系や酸化性の強い薬品では注意が必要です。洗浄剤でも、界面活性剤や溶剤成分の有無で挙動が変わります。

薬品の系統(例)PPの相性傾向設計・試作での注意代替候補の方向性
酸(塩酸・希硫酸など)比較的強い例が多い温度上昇時の軟化・クリープに注意条件が厳しければPVDF等
アルカリ(苛性ソーダ等)比較的強い例が多いシール面の長期荷重でへたりやすい高温なら上位材を検討
塩類水溶液強い例が多い応力がかかる形状は割れ確認まずPPで評価しやすい
溶剤(芳香族・塩素系等)条件により注意ひび割れ・膨潤・白化の有無を確認PTFEやPVDF等を検討
酸化性の強い薬品要注意変色・劣化の進行が早い場合早めに上位材へ切替

上の表はあくまで「傾向」です。薬品名が分かっているなら、必ずその薬品名で相性表を確認し、温度・濃度・接触時間まで合わせて判断してください。

食品装置での注意(衛生・におい・洗浄を先に確認)

食品用途では「強度」よりも、「汚れにくさ」「洗える」「証明書が揃う」が重要になります。PPは水に強く、比較的軽くて扱いやすい一方、次の点は事前確認が効きます。

  • 食品接触の要件:用途により、材料グレードや成分に関する資料が求められることがある
  • 添加剤・着色:黒や着色材は添加剤が変わるため、同じPPでも性質が変わることがある
  • 洗浄条件:熱水・スチーム・強アルカリ洗浄は、温度と応力が重なると変形しやすい
  • 傷と汚れ:PPは硬い金属ほど傷に強くないため、擦れ部は面粗度と清掃性を意識する

「洗浄中は分解して外す」「洗浄時だけ締結を緩める」など、運用で逃がせるなら材料選択の自由度が上がります。

PPの種類(グレード)と選び分け

装置部品で使うPPは、ざっくり次の切り分けで考えると選定が早くなります。

区分特徴向く用途注意点
ホモ(ホモポリマー)剛性・耐熱寄りプレート、治具、剛性が欲しい部位低温衝撃に弱い場合がある
コポリマー(ランダム/ブロック)耐衝撃・割れにくさ寄りぶつかる・落ちる可能性がある部位剛性は落ちることがある
充填材入り(タルク等)反り低減・剛性向上反りが厳しい大物、カバー類衝撃・耐薬品は要確認
帯電防止・導電粉体付着の低減粉体周辺、清掃負担の低減コスト増、条件確認が必須

購買の観点では「PP」とだけ書かれた図面は、後から材質ブレが起きやすい状態です。要求(耐衝撃重視か、剛性重視か、帯電対策が要るか)を一言添えるだけで、調達と品質が安定します。

切削加工で失敗しないコツ(バリ・溶け・反りを止める)

PPの切削で起きがちなのは、(1)バリと糸引き、(2)熱による溶け・面荒れ、(3)固定で反る、の3つです。PPは熱が逃げにくく、刃が“押す”状態になると一気に発熱して溶けやすいのがポイントです。

ありがちな不具合主な原因効く対策(現場向け)
バリが残る/端面がめくれる刃が鈍い、切れずに押している刃物はよく切れる状態に、切込みと送りで“削る”条件にする
糸を引く切粉で絡む切粉が伸びて連続化逃げ溝、エアで除去、工程を分けて切粉を短くする
穴あけで溶ける/穴が汚い摩擦熱、切粉詰まり下穴→段階加工、切粉排出、無理に回転を上げない
反り・寸法が安定しない押さえ過ぎ、残留応力、加工熱当て板+面で保持、荒取り→休ませる→仕上げ、締結力を均等に
面が白くなる/ムシれる送りが小さく擦っている刃先を立て、擦りを減らす(条件見直し)

試作で効く段取り(反りと寸法ブレを減らす)

  • 可能なら、荒加工で0.3〜0.5mm程度の仕上げ代を残す
  • 荒加工後に一度外し、室温で落ち着かせてから仕上げる(応力が動くのを待つ)
  • 薄肉や片側だけ削る形状は反りやすいので、左右対称に近い工程順にする
  • 挟み込みは点ではなく面で受ける(当て板・広い座面・ゴム板などで面圧を下げる)

穴あけ・ねじ加工での注意点(溶け・割れ・緩みを避ける)

  • 穴あけは「切粉を出せる形」にするのが最優先です。深穴は一気に抜かず、数回に分けて切粉を逃がすと溶けが減ります。
  • ねじは、締結力を上げるほど座面が沈み、時間とともに緩みやすくなります。繰り返し脱着する箇所や、気密・水密で押さえ続ける箇所は、金属インサートや金属側で荷重を受ける設計が有利です。
  • 角部は応力が集中しやすいので、面取りやRで逃がします。特に締結穴の周辺は、角を立てないだけで割れにくさが変わります。

バリ取りのコツ(見た目より“機能”優先)

PPはバリが柔らかく残りやすい反面、削り過ぎると角がだれて位置決め精度に影響します。バリ取りは「大きく削る」のではなく、面取り量を設計で決め、面取り工具で一定量だけ落とす方が安定します。摺動部やシール部は、バリの“めくれ”が異物化するため、指触りではなく拡大確認で仕上がりを判断するのが安全です。

固定方法で失敗しないコツ(ねじ・インサート・圧入・溶着)

PPは「接着が効きにくい」材料なので、固定は“形で止める”のが基本です。試作段階で固定方法を決め切れないと、量産で不具合(緩み、割れ、漏れ、反り)が出やすくなります。

ねじ締結:締めるほど良い、ではない

PPは座面が沈みやすく、時間とともに緩みやすい傾向があります。コツは「締結力を上げる」より「面圧を下げて、荷重を分散する」です。

  • 座金・当て板で座面を広げる(局所的なめり込みを防ぐ)
  • 片側だけをガチガチに拘束せず、スロット穴など“逃げ”を作る(熱膨張対策)
  • 繰り返し脱着する箇所は、金属側でねじを受ける設計を優先する

インサート:脱着が多いなら最有力

メンテナンスで何度も外す部位、締結管理が厳しい部位は、金属インサートが有効です。樹脂側は“ねじ山を守る役”に徹し、荷重は金属に逃がします。注意点は、インサート周りに十分な肉厚を確保し、角を立てないこと。薄肉に無理に入れると割れ・白化の原因になります。

圧入・カシメ:短期は良くても、長期で緩みやすい

PPはクリープで寸法が動くため、圧入だけに頼ると時間経過でガタが出ることがあります。どうしても必要なら、キー溝・段付き・抜け止め形状など、機械的に逃げない工夫を併用すると安定します。

溶着:液漏れや衛生を重視するなら強い

接着が難しいPPでも、溶着(熱板・超音波など)は有力です。タンク周り、液受け、カバー類などで「継ぎ目を作りたくない」「シール材を減らしたい」場合に向きます。試作時点で溶着代や逃げ形状を設計に入れておくと、後工程で苦労しません。

固定方法向く場面失敗しやすい原因先回り対策
ねじ+座金分解が必要、位置決めが必要座面沈み、緩み、熱で干渉座面を広げる/逃げ穴設計
金属インサート脱着が多い、締結管理が厳しい肉厚不足で割れ、白化肉厚確保/R付け/配置検討
圧入・カシメ工程を簡単にしたいクリープでガタ、抜け段・キー・抜け止めを併用
溶着漏れ対策、清掃性重視形状不足で歪み溶着代・リブ・治具設計

購買向け:安価材としての適用範囲(他材との比較)

PPはコスト面で魅力がありますが、「温度」「長期荷重」「溶剤」「摺動」のどれかが厳しいと、上位材の方がトータルで安くなることがあります。候補材の“得意分野”を把握しておくと、比較が速くなります。

材料コスト感耐薬品性耐熱・寸法安定摺動・剛性ひと言で言うと
PP低〜中酸・アルカリに強い例が多い熱膨張・クリープは要注意剛性は中、摺動は用途次第まず当たりを付ける定番材
PE(HDPE)耐薬品は強めPPより軟らかめ剛性低め、擦れに強い場合も衝撃・低温寄り、柔らかい
POM薬品は相性差あり寸法安定・剛性が高い摺動に強い機構部品の定番、ただし薬品注意
PVC低〜中酸・アルカリに強い例が多い熱で変形しやすいことも剛性はあるが割れ注意配管・板材で定番、用途を選ぶ
PVDF耐薬品が広い高温側でも比較的安定剛性は中条件が厳しい薬液用途の本命
PTFE最高ほぼ最強クラス高温でも強い低摩擦だが柔らかい“最終手段”の万能材

購買の実務では、図面に「PP」とだけあると、メーカーやロットで微妙に癖が変わることがあります。最低限「ホモ/コポリマー」「色」「食品用途の要否」「帯電対策の要否」まで書けると、調達と品質が安定します。

よくある質問(設計・試作・購買)

Q1:PPでどのくらいの精度(公差)を狙えますか?

形状と肉厚次第ですが、薄肉や長尺は熱と保持で動きやすいので、金属と同じ感覚で狙うと苦労します。重要寸法は、(1)基準面の作り方、(2)固定の面圧、(3)荒→休ませ→仕上げ、の3点で安定します。

Q2:屋外で使えますか?

PPは紫外線で劣化が進むことがあります。屋外や照明が強い環境では、耐候グレードの検討、黒材の採用、カバーで遮光するなどの対策が有効です。

Q3:ねじが緩む/シールが漏れるのはなぜ?

多くは「クリープ」と「座面沈み」です。締結力を上げるより、座面を広げる、金属で荷重を受ける、溶着で継ぎ目を減らす、といった方向が効きます。

まとめ

PPは、耐薬品・軽量・PP(ポリプロピレン)は、耐薬品性・低吸水・軽量・コストの読みやすさが揃った、化学/食品装置で“まず当たりを付けやすい”定番材です。
一方で失敗の多くは、材料そのものではなく 「温度」「長期荷重(クリープ)」「拘束のさせ方」「薬品×応力」 が重なったときに起きます。PPを“使える部品”として成立させるには、設計と試作段取りで先に地雷を潰すのが近道です。

PP採用で外さない要点

  • 薬品は「PPなら安心」で決めない:薬品名(成分)+濃度+温度+接触時間+応力(締結/曲げ)を揃え、相性表→実液の簡易試験で確認
  • 熱膨張とクリープは前提:きつい拘束を避け、片側基準+片側逃げ(スロット穴等)/座面を広げる(座金・当て板)/荷重を金属に逃がす を優先
  • 接着に頼らない:ねじ・インサート・溶着など「形で止める」方針を試作段階から固める
  • 加工は“熱と固定”が勝負:バリ・糸引き・溶け・反りは、切れ味/切粉排出/押さえ過ぎない固定/荒→休ませ→仕上げで止めやすい

「PPでいけるか迷う」「試作で反りやバリが止まらない」「ねじが緩む/シールが持たない」といった段階でも、条件を整理して評価→形状と固定方法まで含めて最短で当たりを付けるのが最もコストを抑えやすい進め方です。

株式会社アリスでは、PPを含む樹脂部品の切削試作・小ロット加工に加え、用途条件を踏まえた固定方法(ねじ/インサート/溶着の方向性)や、反り・バリを出しにくい加工段取りまで含めてご相談いただけます。図面が固まる前ほど、手戻りが小さくなります。

ご相談・見積りを早くするために、最初に共有いただきたい情報

  • 使用条件:薬品名(成分)/濃度/液温(通常・洗浄)/接触の仕方(浸漬・飛散・間欠)
  • 機械条件:荷重の有無(長期荷重か)/温度範囲/支持スパン
  • 重要ポイント:重要寸法(嵌合・シール・摺動)/外観の優先面/バリ許容
  • 固定方法:ねじ種・締結トルク目安/分解頻度(インサート要否の判断材料)
  • 材料の指定:ホモ/コポリマー、帯電対策、食品用途(証明書要否)、色
  • 数量・希望納期(試作か小ロットか)

PPは条件が噛み合うと、軽くて強くて扱いやすい“コスパの高い装置部材”になります。まずは使用条件を一枚に整理して、短時間で採否を決めましょう。きます。

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