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PBT樹脂とは?特徴・用途・精密部品での注意点

2025.11.14 チップス
PBT樹脂とは?特徴・用途・精密部品での注意点

電装部品の材質選定では、「絶縁できるか」「熱で変形しないか」「薬品や油で劣化しないか」「量産で寸法が安定するか」が一度に問われます。PBT樹脂(ポリブチレンテレフタレート)は、これらのバランスが良く、コネクタや絶縁部品で採用されやすいエンジニアリングプラスチックです。一方で、精密部品になるほど“良さ”だけでなく“クセ”も効いてくるため、設計・品質・購買それぞれの観点で押さえるべきポイントがあります。

PBT樹脂とは

PBTの正式名称と樹脂のタイプ

PBTはポリエステル系の熱可塑性樹脂で、加熱すると溶け、冷やすと固まるタイプです。大きな分類では「結晶性樹脂」に入り、固化の過程で結晶化(分子が規則正しく並ぶ)が進みます。結晶性樹脂は、一般に剛性が出やすく、耐薬品性や耐摩耗性に強い一方、成形収縮や反りの“方向性”が出やすい傾向があります。

「PBT=同じ材料」と思うのが一番危ない

PBTは同じPBTでも、ガラス繊維(GF)や難燃剤、耐衝撃改良剤、潤滑成分などの配合で、流れやすさ・反りやすさ・強度・外観が大きく変わります。材質名だけで判断せず、「どのグレードか」「どの環境で使うか」をセットで見ることが、失敗を減らす近道です。

なぜ電気部品でPBTが選ばれやすいのか

電気・電子部品では、材料に「電気を通しにくい(絶縁)」「湿度や温度で性能が変わりにくい」「長期で寸法が暴れにくい」が求められます。PBTは吸水が比較的少なく、ナイロン系(PA)より寸法が安定しやすいことが多いため、端子の位置精度や嵌合(かんごう)精度が重要なコネクタで候補に上がりやすい材料です。

PBTの特徴

絶縁性と電気特性の安定

PBTは電気的に絶縁性を取りやすく、部品用途では難燃グレード(燃えにくい配合)も広く流通しています。設計では、沿面距離・空間距離だけでなく、表面の汚れや湿気で漏れ電流が増える現象(トラッキング)も意識が必要です。PBTはここでも比較的扱いやすい側ですが、最終的には「使用環境(結露・粉塵・薬品ミスト)」と「グレード選定」で差が出ます。

吸水が少なめで寸法が読みやすい

樹脂は水分を吸うと膨張し、強度や絶縁にも影響します。PBTは吸水が比較的少ないため、PA系に比べて寸法変動が抑えやすいのが利点です。品質側は、材料乾燥条件や保管状態(開封後の放置)まで含めて管理しないと、同じ金型でも寸法や外観が揺れる原因になります。

耐熱は「どの温度を指すか」を分けて考える

PBTは“耐熱に強い”と言われますが、温度の定義を揃えないと判断を誤ります。例えば、連続使用温度、熱変形温度、はんだ付け時の短時間耐熱(リフロー/手はんだ)では、求められる性能が別物です。コネクタ周辺は発熱・周囲温度上昇・はんだ熱が重なるため、要求仕様の書き方が重要になります。

耐薬品は油・グリース系に強いことが多い

PBTは、油・グリースなど非極性の薬品に比較的強いことが多く、車載や産業機器で採用が進んだ背景の一つです。一方で、強酸・強アルカリ、高温の水や蒸気環境では劣化(加水分解)が問題になりやすく、洗浄工程や使用環境に「熱+水分」がある場合は要注意です。実際の現場では「薬品名」だけでなく、濃度、温度、接触時間、応力の有無(応力がかかった状態で薬品に触れる)が寿命を左右します。

成形性と量産性

PBTは成形サイクルを組みやすく、量産向きのグレードが豊富です。ガラス繊維入り(GF)は剛性・耐熱を底上げできる反面、反りや表面性、金型摩耗が課題になります。難燃グレードは安全規格に対応しやすい一方、配合によっては靭性(粘り)や流動性が変わるため、試作段階で「割れ」「白化」「ゲート近傍の欠け」も確認しておくと安心です。

弱点と誤解されやすい点

PBTは万能ではなく、条件が合わないとトラブルが出ます。代表的な注意点は次の通りです。

  • 高温多湿・熱水:加水分解で強度低下や割れが起きやすい(洗浄工程、結露、屋外での温湿度変動など)
  • 強酸・強アルカリ:薬品の種類によっては急激に劣化するため、実液での評価が必須
  • 応力集中:角部や薄肉部、スナップ形状で割れやすいことがある(小さなキズでも起点になり得る)
  • 紫外線:屋外暴露では変色や脆化の対策が必要(黒色・耐候グレードなど)
  • クリープ:樹脂は荷重をかけ続けると徐々に変形するため、締結部や嵌合部は余裕を持った設計が必要
観点PBTの強み(傾向)設計・品質での見方注意点
絶縁/電気絶縁性を取りやすい湿度・汚れ・トラッキング条件を明確化環境条件とグレードで差が出る
寸法安定吸水が少なめで変動が小さい乾燥・保管・成形条件を標準化開封放置で外観/寸法が揺れる
耐熱仕様を満たすグレードが多い連続/短時間/変形温度を分けて評価はんだ熱や発熱の重なりに注意
耐薬品油・グリースに強いことが多い実薬品・濃度・温度で評価高温水分・酸/アルカリは要確認
量産性成形サイクルが組みやすい反り・収縮の再現性を確認GF・難燃は反り/摩耗/供給に影響

PBTの主な用途

コネクタ・絶縁部品

代表例は、各種コネクタハウジング、端子保持部、ボビン、スイッチ/リレー周辺の絶縁パーツなどです。嵌合のしやすさ、端子位置の安定、耐熱・難燃要求への適合がポイントになります。リフロー工程がある場合は、短時間高温での寸法変化や反りも含めて、評価条件を先に決めておくと手戻りを防げます。

ハウジング・機構部品

センサーケース、ギヤ周辺の部品、モータ周辺の保持部など、電気と機械の要件が混在する場面でも選ばれます。強度が必要ならGF、割れが心配なら耐衝撃改良など、用途に合わせて配合が変わります。ここで重要なのは「強くするほど反りやすい」「燃えにくくするほど粘りが落ちる」など、トレードオフが起きやすい点です。

採用判断を早めるコツ

役割別に“先に決めること”を揃える

  • 電装設計:使用温度(常時/瞬間)、電圧、嵌合回数、周辺発熱、はんだ工程の有無、屋外/屋内
  • 品質:評価条件(温度×時間、湿度、薬品の濃度と接触時間)、乾燥・保管ルール、外観基準(白化・反り)
  • 購買:必要な難燃規格/認証、二次ソースの可否、候補グレードの流通性、長納期化リスク

PBTは“万能”ではありませんが、条件が合えば非常に堅実な選択肢です。次のパートでは、PA66・PPS・LCP・POMなどとの材質比較の考え方と、グレード差(GF/難燃/低反り/流動性)の見分け方を、仕様整理のテンプレとあわせて解説します。

材質比較で押さえるポイント(PBT vs PA66・PPS・LCP・POM)

材質比較でつまずきやすいのは、「物性表の数値」だけで優劣を決めてしまうことです。樹脂は“条件付きの材料”で、温度・湿度・応力・成形条件で振る舞いが変わります。比較は次の3段階で行うと、判断が早くなります。

使う環境を固定する

  • 温度:常時○℃、ピーク○℃、ピーク保持時間(何分/何秒)
  • 湿度:結露するか、屋外か、洗浄があるか
  • 薬品:何が、どの濃度で、何度で、どれくらい触れるか
  • 電気:電圧、沿面距離、汚れの種類(粉塵/油ミストなど)
  • 機械:嵌合回数、締結トルク、荷重の方向、寿命

寸法が効く箇所を先に決める

コネクタなら端子位置や嵌合面、精密部品なら基準面や穴ピッチなど、寸法が効く箇所を先に決めます。ここが決まると、吸水・収縮・反りの影響を「どこで吸収できるか/できないか」が見えてきます。逆に、寸法の要所が曖昧なまま材質を決めると、後工程で公差が守れず、金型修正や材質変更が発生しがちです。

候補材を“得意領域”で見分ける

代表的な材料の傾向を、電装部品の目線でまとめると次の通りです。

材料得意なこと(ざっくり)注意点(現場で起きがち)典型用途
PBT低吸水で寸法が読みやすい。電気部品に向く。熱水・高温多湿は要注意。GF/難燃で反りや割れが変わる。コネクタ、絶縁部品、機構部品
PA66(ナイロン)強度・靭性が出やすく、汎用性が高い。吸水で寸法・物性が動く。湿度条件で嵌合が渋くなることも。自動車周辺、機構部品、コネクタ(条件次第)
PPS高耐熱・耐薬品で環境が厳しい場面に強い。材料単価が上がりやすい。割れ・バリ・反りの癖が出ることがある。高温周辺、耐薬品要求の部品
LCP薄肉でも流れやすく、微細形状が得意。高耐熱。異方性が強く、方向で反りやすい。超薄肉コネクタ、精密端子周辺
POM摺動・ギヤなど機構で扱いやすい。電装の難燃要求には不向きなことが多い。寸法精度は形状依存。ギヤ、摺動部、機構部品

この表の使い方は、「いきなり決める」ではなく、「PBTで足りない条件があるならPPS/LCPへ」「吸水が許容できるならPA66でコスト優位を狙う」といった、絞り込みの地図として使うことです。

比較の落とし穴(数字をそのまま信じない)

  • 23℃乾燥の数値だけで比較しない:高温・高湿・吸水後のデータ有無で結論が変わります
  • 試験片の結果=実部品の結果ではない:ゲート位置、繊維配向、肉厚差で反りや強度が変わります
  • 「強い=割れない」ではない:硬くする配合ほど、スナップや角部で欠けが起きる場合があります
  • 物性の“どれが効くか”を決める:保持力ならクリープ、嵌合精度なら寸法安定、耐久なら疲労も視野に入れます

データシートの読み方(比較の精度を上げる)

物性表は“試験条件のメモ”付きで読みます。特に、温度(23℃なのか高温なのか)、吸水後のデータがあるか、GF量、難燃配合の有無は必ず確認します。また、引張強さのような単発値よりも、熱でたわむか(変形)、長期荷重でへたるか(クリープ)のほうが、嵌合や保持力に直結することが多いです。

要求仕様の整理テンプレ(設計・品質・購買で共有できる形)

材質選定は、仕様の“言い方”が曖昧だと失敗します。例えば「耐熱が必要」だけだと、連続使用温度なのか、リフローの数十秒なのかが分かりません。最初に、仕様を次のように“数と条件”で書き換えるのが効果的です。

仕様項目良い書き方の例PBTで見落としやすい点
耐熱常時85℃、ピーク120℃×10分、年間○回「ピーク温度だけ」だと熱履歴の差で反りが変わる
リフロー260℃×30秒×2回(部品実装条件)難燃グレードでも短時間高温での変形を要確認
耐薬品IPA拭き取り、週○回、室温、応力なし熱水・温水洗浄に置き換わると劣化が進むことがある
寸法端子ピッチ±0.05、測定23℃50%RH吸水は少なめでも保管/乾燥で微差が出る
外観ゲート部欠けNG、白化は外観面NGスナップ周りで白化→割れの前兆になり得る

このテンプレを社内で共有しておくと、設計は要求を言語化でき、品質は評価条件を作りやすく、購買は「必要なグレード」「認証の要否」を早めに掴めます。購買目線では、色(黒/ナチュラル)、難燃規格の対象厚み、指定メーカー縛りの有無が、調達性とコストを大きく左右します。さらに、量産前に「代替グレードでも同等に成立するか」を確認しておくと、長納期化のリスクを抑えられます。

PBTのグレード差(GF・難燃・低反り・高流動など)

PBTは配合で性格が変わるため、グレードの選び方が肝になります。よくある方向性と、向く場面を整理します。

グレードの方向性ねらい得られること代わりに起きやすいこと向く部品
GF(ガラス繊維)剛性・耐熱を上げるたわみ低減、保持力の安定反り、表面荒れ、金型摩耗保持部、薄肉で剛性が要る部品
難燃(FR)安全規格対応燃え広がりの抑制欠け・割れ、物性変化絶縁ケース、コネクタ
低反り/寸法安定反り・ねじれ抑制嵌合精度の安定流動性や強度が変わる場合端子位置がシビアな部品
高流動薄肉充填性ショート低減、微細形状対応耐衝撃が下がる場合薄肉コネクタ、リブ多形状
耐加水分解熱水環境に備える高温多湿での劣化抑制標準材より入手性が落ちることも洗浄工程あり、結露リスク部品

購買では、候補グレードを「標準で入るもの」と「代替候補(同等狙い)」の2本立てで持つと、長納期化や廃番リスクに強くなります。設計・品質側も、試作時点で“代替でも成立する要求”にしておくと、量産立ち上げが安定します。

グレード選定の進め方(迷ったときの順番)

  • まず標準グレードで形状成立と寸法傾向を掴む
  • 反りが問題なら低反り系、薄肉充填が厳しければ高流動系へ
  • 欠け・割れが出るなら耐衝撃改良や形状見直しも同時に検討
  • 熱水・結露が避けられないなら耐加水分解系を早めに候補に入れる
    この順番にすると、材料を当てずっぽうで変える回数が減り、金型側の調整ポイントも整理しやすくなります。

精密部品での注意点(反り・割れ・寸法ばらつき)

PBTは電装部品に向く一方、精密部品になるほど「成形で出たクセ」がそのまま不良につながりやすい材料です。ここでは、現場で多いトラブルを“原因→対策”で整理します。

反り・ねじれが出る主因

PBTは結晶性で、固まるときに収縮します。さらにGF入りでは繊維の向き(配向)で収縮が方向によって変わり、反り・ねじれが出やすくなります。薄肉、リブの偏り、肉厚差、片側ゲート、長いフロー長などが重なると、再現性よく反ってしまいます。

反り対策は「形状」「ゲート」「グレード」「条件」の順で考える

対策は材料変更だけに頼ると遠回りになりがちです。まず形状で反りの素を減らし、次にゲート・ランナーで流れを整え、それでも足りない場合に低反り系やGF量の調整を検討すると、量産までの手戻りが減ります。

割れ・白化(ストレスマーク)の見方

スナップ嵌合や端子保持のツメは、応力が集中しやすい代表箇所です。PBTは配合によっては“硬くて欠けやすい”側に振れるため、白化が出た時点で「割れの前兆」と見ておくと安全です。さらに、洗浄剤やアルコール拭き取りなどが加わると、応力が残った箇所から割れが進むことがあります。

よくある症状主な原因設計での対策材料/成形での対策
反り・ねじれ肉厚差、リブ偏り、繊維配向、冷却偏り肉厚を揃える、リブ配置を対称に、基準面を増やす低反り系、ゲート位置調整、金型温調の安定化
端子位置ずれ収縮ばらつき、保圧不足、乾燥/吸湿の揺れ端子基準面の取り方を明確に、寸法の逃げを作る乾燥条件の標準化、保圧・冷却の見直し
ツメ割れ/白化応力集中、ウェルド、硬すぎる配合角にR、根元厚み確保、抜き勾配と逃げ耐衝撃改良、成形条件で応力低減
ゲート近傍の欠けゲート形状、離型時の応力、脆化ゲート位置を外観/応力部から外すゲート方式の見直し、過熱劣化の回避

寸法公差は「測定条件」までセットで決める

PBTは吸水が少なめでも、乾燥状態と室内放置後では寸法が微妙に変わります。精密部品ほど、測定の温度・湿度・放置時間(条件出し)を品質と合意しておくことが重要です。加えて、試作(簡易金型)と量産金型では冷却や流れが変わるため、試作段階で“狙い公差の限界”を現実的に見積もります。

成形・加工の注意点(試作〜量産でズレを減らす)

乾燥は「吸水が少ないから不要」ではない

PBTは吸水が少ないと言われますが、成形時に水分が多いと外観不良や物性低下の原因になります。乾燥条件は材料メーカー推奨に合わせ、開封後の保管(袋の口、乾燥剤、滞留時間)もルール化すると、寸法と外観の再現性が上がります。

成形条件は“安定化”が最優先

精密部品では、温度・保圧・冷却の小さな揺れが寸法ばらつきに直結します。試作時点で、狙い寸法に効いている因子(保圧か、金型温度か、冷却時間か)を特定し、量産で再現できる条件に落とし込みます。

切削加工で試作する場合の要点

形状検証を急ぐときは、PBTの切削加工で試作する選択肢も有効です。注意点は「締め付けで歪ませない」「刃物を切れ味重視にする」「熱で溶かさない」の3つです。微細形状や薄肉はバリが出やすいため、面取り・R付け・工具経路まで含めて設計段階で織り込むと後戻りが減ります。

品質評価と試験の考え方(要求仕様を“確認できる形”にする)

電装部品でよく使う評価は、机上の物性表ではなく“実部品での確認”が基本です。

  • 寸法/反り:成形直後と規定時間放置後、温湿度条件を固定して測定
  • 耐熱:熱老化、ピーク温度の繰り返し、必要なら熱衝撃も追加
  • 耐薬品:実液・実濃度・実温度で、応力あり/なしを分けて確認
  • 電気:絶縁抵抗、耐電圧、汚れ環境を想定した評価(必要に応じて)
  • 機械:嵌合回数、保持力、ツメの疲労、クリープを想定した保持試験

調達性と量産リスク(購買が押さえるべきポイント)

PBTはグレードが多い分、指定の仕方で調達リスクが変わります。

  • 「材料名」だけでなく、必要な要件(難燃、GF量、色、流動性、低反り)を仕様化する
  • 指定メーカー縛りは最小限にし、代替グレードの候補を先に用意する
  • 認証や規格が絡む場合は、対象厚みや部品形状まで含めて適合確認する
  • 量産前にロット差の影響(反り・外観・嵌合)を確認し、受入基準を明確にする

まとめ

PBT樹脂は、絶縁性・低吸水による寸法の読みやすさ・量産性のバランスが良く、コネクタや絶縁部品など“精度が効く電装部品”で堅実に選ばれるエンプラです。
一方で、精密部品ほど グレード差(GF/難燃/低反り等)・成形条件・使用環境(熱+水分)の影響が大きく、「PBTなら大丈夫」で進めると 反り/端子位置ズレ/ツメ割れ/高温多湿での劣化が後から顕在化しやすくなります。

PBT採用で外さないポイント

  • “どのPBTか”を先に決める:材質名だけでなく、GF量・難燃規格・低反り/高流動など、狙いを言語化
  • 熱は定義を分ける:連続使用温度/ピーク温度(時間)/リフロー等の短時間高温を分解して評価
  • 高温多湿・熱水は要注意:洗浄工程・結露・温水接触があるなら、耐加水分解の考え方と実条件試験が必須
  • 精密部品は“反りと応力”が支配的:肉厚差・リブ偏り・ゲート/流れ方向・スナップ根元のRなどを設計段階で整理
  • 評価条件を固定する:温湿度・放置時間・乾燥/保管ルールまで含めて、寸法・嵌合・割れを同じ土俵で判定

「PBTで成立するか」「PA66・PPS・LCPへ上げるべきか」で迷う場合は、環境条件(温度×湿度×薬品)と、寸法が効く“要所”を先に揃え、試作で反り/嵌合/割れの当たり付けを行うのが最短ルートです。材料を上げ下げする前に、“どこでズレると機能が崩れるか”が明確になるため、量産立ち上げの手戻りを減らせます。

株式会社アリスでは、電装・精密部品向けに、切削試作(形状・組付け確認)から試作金型による成形評価(反り・収縮・嵌合/端子位置)まで一貫して対応しています。PBTは「条件の揃え方」で結果が大きく変わるため、図面が固まる前のご相談ほど効果的です。

ご相談・見積りを早めるために、最初に共有いただきたい情報

  • 使用条件:常時温度/ピーク温度と時間/結露・洗浄の有無/接触する薬品(成分・濃度・温度・時間)
  • 電装要件:電圧、沿面/空間距離、難燃規格・認証の要否(対象厚み含む)
  • 精度要件:端子位置・嵌合面など“重要寸法”と測定条件(温湿度・放置時間)
  • 機械要件:嵌合回数、ツメ/スナップの繰返し、締結トルクや保持力
  • 調達要件:色、二次ソース可否、候補グレード(GF/難燃/低反り等)、数量・希望納期

PBTは条件が噛み合えば、精度・信頼性・量産性を同時に取りやすい材料です。まずは「環境条件」と「重要寸法」を揃え、試作で短時間に採否判断できる形に落とし込みましょう。

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