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「鬼」と呼ばれた人は、本当に鬼だったのか

2014.02.25

昔話には、鬼がたくさん登場します。

山に住む鬼。
峠に現れる鬼。
都へ従わない鬼。
英雄によって退治される鬼。

角があり、牙があり、人を襲う。

けれど当然、発掘調査をしても角の生えた人骨が出てくるわけではありません。

では、「鬼」とはいったい何だったのでしょう。

ここで面白いのが、鬼が現れる場所です。

山。
峠。
国境。
都から離れた土地。

つまり、中央の人間から見れば「向こう側」の世界です。

鈴鹿峠にも鬼や盗賊の伝承が数多く残ります。

甲賀市は、鈴鹿峠が古くから交通の要衝であり、『今昔物語集』にも山賊が登場すること、そして中世には討伐が繰り返された地域だったと説明しています。甲賀市公式サイト

これは興味深い。

本当に妖怪がいたと考える必要はありません。

旅人を襲う山賊もいたでしょう。

中央の支配に従わない地域集団もいたかもしれません。

山を生活圏とする人々もいたでしょう。

都の人間から見れば、言葉も服装も生活習慣も違った可能性があります。

理解できないもの。

従わないもの。

恐ろしいもの。

それらが長い時間の中で「鬼」という姿へ変わっていった可能性を考えることはできます。

ただし、

「鬼=征服された先住民」

と単純に決めることもできません。

鬼という言葉には、怨霊、疫病、異界の存在、山賊など、さまざまな意味が重なっています。

だからこそ面白い。

鬼の伝承を見つけたとき、

「鬼なんて迷信だ」

で終わらせるのではなく、

ここには昔、どんな人がいたのだろう。

なぜこの場所で鬼が語られたのだろう。

山はどうなっているのか。
道はどこを通るのか。
近くに古い集落はないか。
神社はないか。
墓や塚は残っていないか。

一つずつ調べていく。

すると妖怪の話だったはずのものが、

少しずつ人間の歴史へ戻ってくることがあります。

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