饒速日は王ではなく、人を率いた移動集団の長だったのか
2013.05.25
饒速日という人物は、古代史の中でも不思議な存在です。
神話では空から降りたとも伝えられています。
けれど私は、その話をそのまま超人的な出来事として読むよりも、実際に人々を率いて移動した人物や集団の記憶が、後に物語として残ったのではないかと考えています。
人が新しい土地へ移る時、一人で行くことはほとんどありません。
農耕のできる人。
道具を作れる人。
水を扱える人。
布を作れる人。
食料を保存できる人。
土地を見て住める場所を判断できる人。
そうした人たちが一緒に動けば、移動そのものが小さな社会になります。
そして、その集団もずっと一緒とは限りません。
途中の土地を気に入って残る人。
別の川沿いへ進む人。
山を越えてさらに先へ向かう人。
何十年、何百年とかけて枝分かれしていけば、同じ系統の技術や祭り、地名、伝承が離れた地域に残っていても不思議ではありません。
饒速日も、そうした長い人の移動の中で考えると面白くなります。
大軍を率いた征服者ではなく、新しい土地を探しながら人々をまとめた先導者。
そしてその後ろには、名前の残らなかった多くの技術者や家族がいた。
私はその方が、古代の社会を考える時には現実的に感じます。
一人の英雄が国を作ったのではなく、多くの人が移動し、住み、働き、次の世代へ技術を渡していった。
その積み重ねの中で、後に「饒速日」という一人の名前へ集約された可能性もあるのではないでしょうか。
新着記事
人気記事
カテゴリー
アーカイブ